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むくの木と手仕事にこだわる家具職人・松岡茂樹さんが語る「むく」の魅力

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むくの木と手仕事にこだわる家具職人・松岡茂樹さんが語る「むく」の魅力

自然素材が好きで、家や暮らしに取り入れている人は多くいる。では、自然素材を扱う人は、その魅力をどう捉えているのだろう。むくの木と手仕事にこだわる家具職人、松岡茂樹さんに話を聞いた。
むくの木に、同じものは一つとしてない

工芸品のような美しさとオリジナリティーをもちながら、しかし、作品ではなく、プロダクト。職人集団KOMAによるむくの木の家具は、親方の松岡茂樹さんがプロトタイプをつくり、弟子たちによって製品化されていく。
「道具をつくる職人として“本物の家具”を追求した結果です」
本物の家具づくりに妥協は許さない。そんな松岡さんが素材として選んだのが、むくの木だ。
「天然の素材ですから、同じものは一つとしてない。同じウォールナットの板でも堅さや木目の入り組み方など一つひとつ全て違って、その板にはそのときしか出合えません。一期一会なんですよ」

それにどう刃を当てて、板も自分も喜ぶような家具に仕上げていくのか。
「生来の飽き性の僕が夢中になってこの仕事を続けているのも、そこが面白いからでしょうね。意外かもしれませんが、僕は樹種にも無頓着。どの樹種かより、目の前の板がどんなものかが大事。常に一対一なんです」
中には、職人魂を刺激されるような飛び切りの木目をもつ板も。
「自然がつくるものには作為がない。だから美しい。その無作為の造形美を、なんとかして製品に落とし込みたいと思うんですよ」

カンナや刀などの道具は各自が専用のものをそろえ、メンテナンスしながら使いやすいよう慣らしていく。松岡さんは「自分の道具は人に指1本触れさせない」とか(写真撮影/菊田香太郎)

カンナや刀などの道具は各自が専用のものをそろえ、メンテナンスしながら使いやすいよう慣らしていく。松岡さんは「自分の道具は人に指1本触れさせない」とか(写真撮影/菊田香太郎)

月日とともにキズも含めて熟成していく

KOMAの家具がむく材でなければならない理由はもう一つ、時間の作用だ。年月とともに劣化する素材は使いたくないという。
「例えば合板などのキズは、月日がたってもキズのまま。しかし、むくの木ならキズも含めて熟すように古くなる。大きな差です」 
古さがむしろ味になる。いうなれば、経年劣化ではなく経年美化。目指すのは、「長く、愛着をもって使ってもらえる家具づくり」だ。
「木の家具をずっと使っていると、いつも触る場所に艶が出てきたりしますよね。その人の暮らしのクセみたいなものを映し出すようになって初めて、一つのプロダクトとして完成するんじゃないかと」

特に椅子には思い入れがある。
「人がその体を預ける家具で、最小単位の生活空間といってもいい。座るのに決まった姿勢があるわけではなく、斜めだったり、もたれたり、足を組んだり。どう座っても心地いい形に削り出すことをいつも考えているけれど、終わりがないですね」
座り心地と同じくらい、触り心地にも気遣っている。肌に直接触れたとき、気持ちいいと感じるかどうか。ウレタン塗装では得られない本物の木の手触りを、自ら確かめながら削っていくのだ。
「相棒として共に暮らすように使い込んでもらいたい。やっぱり、むくの木以外にないんです」

木の匂いと木粉が立ち込めるKOMAの工房には制作途中の家具が並ぶ(写真撮影/菊田香太郎)

木の匂いと木粉が立ち込めるKOMAの工房には制作途中の家具が並ぶ(写真撮影/菊田香太郎)

KOMAの家具づくりは、作業のほとんどを人の手で行う。刀を使って削り出した木の風合いは、機械では到底たどり着けないものだと考えるからだ。いよいよ汚れがひどくなっても、むく材なら表面を削ればきれいになる。子や孫の代でも使えるだろう。世代を超えて愛されるのが本物の家具であり、自然素材だ。

●取材協力
家具職人/親方(KOMA代表取締役)。
1977年東京都生まれ。幼いころから絵を描いたり、ものをつくったりすることが大好きで、美術学校に進学。卒業後は家具製造会社に入社し職人修行を開始。2003年に独立し、「KOMA」を設立。2013年に直営店を開設した。家具製作を中心にさまざまなプロジェクトにも参加し、国内外の賞を受賞。趣味はバイク、スケボー、スノボー、サーフィンと幅広い。元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/06/156499_main.jpg

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18%が自宅や近所で空き巣被害に! 夏休みの防犯対策は大丈夫?

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18%が自宅や近所で空き巣被害に! 夏休みの防犯対策は大丈夫?

いよいよ夏休みシーズンに入った。ところが、留守宅が多くなる夏休みは、空き巣にとっては稼ぎ時だという。ALSOKの調査によると、自宅や近所で空き巣の被害に遭ったことがある人が約18%もいることが分かった。「空き巣」は誰にとっても身近な犯罪なのだ。きちんと防犯対策はされているのだろうか?【今週の住活トピック】
「空き巣被害に関する意識調査」を発表/ALSOK約18%の人が自宅や近所の家で空き巣の被害を経験、空き巣は身近な犯罪

ALSOKの「空き巣被害に関する意識調査」で、「あなたの自宅もしくは近所の家が、空き巣に入られたことはありますか」と聞いたところ、1回以上あると回答した人が17.7%もいた。

自宅もしくは近所の家が空き巣に入られた経験の有無(単数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

自宅もしくは近所の家が空き巣に入られた経験の有無(単数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

では、空き巣被害を知った後で、空き巣対策をしたかどうかを聞いたところ、52.8%が対策をしたと回答。具体的な防犯対策としては、「鍵を交換した」、「鍵の数を増やした」、「転居した」、「防犯ガラスに変更した」、「防犯カメラを設置した」などが挙がった。

自宅もしくは近所の家が空き巣に入られた後、実施した空き巣対策(複数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

自宅もしくは近所の家が空き巣に入られた後、実施した空き巣対策(複数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

この調査では、20代~60代600人に調査を実施しているが、自宅が持ち家か借家か、一戸建てか共同住宅かは不明だ。実際にはそれによって、防犯対策の選択肢は変わってくる。

借家の場合で考えると、自分でできるのは、補助錠を付けるなどで鍵を増やすか(この調査結果にはないが、防犯フィルムをガラスに貼る対策は可能)、それでも不安ならば転居も選択肢の一つになるだろう。基本は大家に依頼して、防犯対策を強化してもらうことになる。

持ち家で一戸建ての場合なら、個人の判断で防犯対策を強化できるのだが、マンションの場合は、一般的には鍵の交換やガラスの変更は共用部分に該当するので、管理組合と相談して対応策を取ることになる。

侵入を防ぐには、鍵と窓ガラスの防犯性がまさしくカギになる

ALSOKの調査では「空き巣」が対象だが、警察庁によると、住宅に侵入して金品を盗む「侵入窃盗」には、家人の留守を狙う「空き巣」、家人の就寝中に盗みを働く「忍び込み」、家人が在宅中に侵入する「居空(いあ)き」の3種類の手口があるという。

警察庁のサイト「住まいる防犯110番」によると、侵入するのは圧倒的に『窓』から(一戸建て57.6%、3階建以下の共同住宅56.9%、4階建以上の共同住宅34.9%)で、4階建以上の共同住宅だけは『表出入口』(52.4%)が多くなっている。

侵入する手段は、「無施錠」と「ガラス破り」が大半。まさしく「鍵」と「ガラス」がカギになるようだ。

防犯対策としては、可能な限り防犯性の高い鍵や窓ガラスに交換することが挙げられるが、そもそも「無施錠」であればその効果は期待できない。
では、なぜ鍵をかけないのだろうか?

LIXILの「防犯意識と実態調査」結果では、5分以内の外出なら鍵をかけない人が約48%もいた。「すぐ戻るつもりだから」、「これまで空き巣に入られたことがないから」、「安全な地域に住んでいると思うから」などの理由で、鍵をかけずに外出するというのだ。

つまり、「油断や思い込み」が無施錠につながって、窃盗犯に狙われることになる。

窃盗犯に侵入されることで、金品が盗まれるのも困るが、家の中に侵入されたことの不安や恐怖は堪えがたいものだろう。

一方、窃盗犯もプロなので、必ず下見をして侵入しやすい家を物色すると聞く。夕方になっても照明が付かないなど留守の時間帯を調べたり、外から見て窓が開いているか確認したりして、侵入する家をあらかじめ決めているわけだ。

マンションにオートロックがあるから、防犯カメラがあるから、上層階だからと油断していると、ほかの人と一緒に入ったり、防犯カメラの死角を探したり、壁をよじ登ったり屋上から降りたりして、無施錠の窓から侵入されることもある。

かくいう筆者もエアコンが苦手なので、就寝中に窓を少し開けておくことがある。窃盗犯に狙われないように、これからは気をつけるようにしようと思う次第だ。

鍵や窓ガラスの強化に加え、音や光、カメラの目などを活用

では、具体的にどういった防犯対策が効果的だろう。

ALSOKの調査で「具体的な空き巣対策」を聞いたところ、対策をしている37.9%では、「玄関扉・勝手口の扉の鍵を二重にする」(64.9%)が最も多く、「窓ガラスに補助錠をつける」(31.5%)、「窓ガラスを強化ガラスにしたり、防犯フィルムを貼る」(22.0%)と鍵や窓ガラスの防犯性強化を実施している人が多かった。

実際に行っている扉や窓を施錠する以外の防犯対策(複数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

実際に行っている扉や窓を施錠する以外の防犯対策(複数回答)(出典/ALSOK「空き巣被害に関する意識調査」より転載)

ほかにも、「防犯砂利」を敷くなど音による対策や「防犯カメラ」などカメラの目による対策なども見られた。加えて、人を感知すると照明が点灯する「人感センサー照明」など光による防犯対策も効果的だろう。

8番目の「キーカバー/キーケース」に鍵を入れるという対策は、管理会社と名乗り確認のためと鍵を出させ、鍵に刻印された鍵番号から合鍵をつくって侵入した事件をきっかけにしているのだろう。特に女性の一人暮らしでは、鍵番号を知らせないような対策にも気をつけたいものだ。

最近では、TwitterやFacebookなどのSNSで「これから海外です」など長期不在の情報を得て、発信時の位置情報などから自宅を探り当てる窃盗犯もいると聞く。

夏休みシーズンに入り、長期間自宅を留守にする人も増えるだろう。留守情報をオープンにするなどは慎んで、出かける際には近所の人や管理会社に声をかけたり、郵便物や新聞の配達を止めたりといった対応も考えて、空き巣に備えるようにしてほしい。

●参考
・警察庁のサイト「住まいる防犯110番」
・LIXILの「防犯意識と実態調査」元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/07/157510_main.jpg

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【2018年】東京23区の家賃相場が安い駅ランキング! 最安は5万円台

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【2018年】東京23区の家賃相場が安い駅ランキング! 最安は5万円台

人生トータルの支出のなかで、大きな割合をしめるのが家賃。なかでも東京23区は家賃が高いことで知られるが、穴場や掘り出し物の地域はある。ワンルーム・1K・1DKの物件を対象とした家賃相場が安いトップ17の駅をピックアップし、それぞれの特徴を紹介する。東京23区内の家賃相場が安い駅TOP17

順位/駅名/ 家賃相場/ (沿線名/駅所在地)
1位 西高島平5.55万円(都営地下鉄三田線/板橋区)
2位 葛西臨海公園 5.70万円(JR京葉線/江戸川区)
3位 北綾瀬 5.90万円(東京メトロ千代田線/足立区)
4位 一之江 6.00万円(都営地下鉄新宿線/江戸川区)
4位 京成金町6.00万円(京成金町線/葛飾区)
4位 金町 6.00万円(JR常磐線/葛飾区)
7位 堀切 6.15万円(東武伊勢崎線/足立区)
8位 柴又 6.20万円(京成金町線/葛飾区)
8位 江戸川 6.20万円(京成本線/江戸川区)
8位 篠崎 6.20万円(都営新宿線/江戸川区)
11位 上井草6.30万円(西武新宿線/杉並区)
11位 堀切菖蒲園 6.30万円(京成本線/葛飾区)
11位 宮ノ前 6.30万円(東京さくらトラム(都電荒川線)/荒川区)
11位 竹ノ塚6.30万円(東武伊勢崎線/足立区)
11位 舎人公園 6.30万円(日暮里・舎人ライナー/足立区)
16位 青井 6.35万円(つくばエクスプレス/足立区)
17位 お花茶屋 6.40万円(京成本線/葛飾区)
17位 五反野6.40万円(東武伊勢崎線/足立区)
17位 京成小岩 6.40万円(京成本線/江戸川区)
17位 六町 6.40万円(つくばエクスプレス/足立区)
17位 新柴又 6.40万円(北総線/葛飾区)
17位 西新井 6.40万円(東武伊勢崎ほか/足立区)

家賃相場だけではない魅力の足立区

約半数を占めたのは、足立区の駅だった。23区の北端という立地などから比較的家賃相場がリーズナブルな印象がある区だが、実際にその通りといえそう。しかし足立区は、2006年に東京芸術大学が新キャンパスを開設して以降大学の誘致が進み、「SUUMO住みたい街ランキング2018」の穴場だと思う街で1位に北千住が選ばれるなど、家賃相場だけではない魅力がある。

3位の北綾瀬駅は東京メトロ千代田線の駅で、足立区内で最東端に位置する。日比谷や大手町などのビジネス街まで30分ほど、原宿や表参道など人気の遊び場も沿線だ。だが北綾瀬駅は、千代田線の支線という扱いの駅。上記の街がある駅へは、同じ千代田線内の隣駅、綾瀬駅での乗り換えが必要になる。しかし現在、北綾瀬駅内で工事が行われており、来年の2019年には日比谷や表参道などへも直通運転になる予定で、利便性は格段に向上する。少し先の時期へ向けて部屋を探すなら、最注目といってもいいかもしれない。

駅のすぐそばには、木立に囲まれ滝や水車も整備された「しょうぶ沼公園」がある。雑然とした街中にありながら水と緑に親しむことができるため、ファミリー世帯の憩いの場にもなっている。

東京都足立区 初夏のしょうぶ沼公園(写真/PIXTA)

東京都足立区 初夏のしょうぶ沼公園(写真/PIXTA)

同じ足立区の7位の堀切駅や11位の竹ノ塚駅、17位の五反野駅がある東武伊勢崎線は、東京メトロ日比谷線と半蔵門線と相互直通運転している。有楽町や渋谷など、通勤や遊びに頻繁に通うであろう街への乗り換えに便利で、所要時間も意外に少ない。勤務先などの立地によっては、穴場といえるだろう。

単身者や学生が暮らしやすい条件がそろう

葛飾区も数多くランクインしている。4位の金町駅はJR常磐線の各駅停車のみの駅だが、JR常磐線は東京メトロ千代田線と直通運転している。北綾瀬駅でも触れた日比谷や大手町などのビジネス街へ、やはり30分ほどで乗り換えなしで移動ができ、利便性は抜群だ。

駅周辺は商店街があり少しノスタルジックな雰囲気だが、24時間営業で駐車場完備のスーパーもある。単身者向けの低価格な飲食店も充実しているため、学生にとっては心強い街だろう。また、同率4位の京成金町駅は金町駅と約150mの距離で、互いに2線の利用が可能。最寄駅の路線にとらわれすぎることなく、好きな間取りの部屋を柔軟に選ぶことができそうだ。

東京 葛飾区 金町駅 北口駅前風景(写真/PIXTA)

東京 葛飾区 金町駅 北口駅前風景(写真/PIXTA)

ランクインした駅が東京の北と東に集中しているなかで、唯一西側の街にあるのが11位、杉並区の上井草駅だ。西武新宿線の各駅停車のみの駅だが、新宿までは約20分。乗り換えも不要なことを考えると、交通アクセスは決して悪くはない。

上井草は快速などが止まらないために杉並区内での家賃相場も低く抑えられている街ではあるが、ランクインしたのは、物件自体が小規模で安価に設定されているためだろう。西武新宿線内でターミナル機能を果たす高田馬場駅は、早稲田大学の最寄駅。そのため同大学を筆頭に、沿線の学校に通う学生向けの価格を抑えた物件が集中していることが理由といえそうだ。大きな商業施設などはないが、進学で一人暮らしを始めた若者にとっては同じ境遇の人が多く安心して住めて、勉学にも集中できる場所と考えてもいいかもしれない。

23区内と限っても、東京は広い。そして便利で、複雑だ。直線距離だけでは利便性は測れないが、生活スタイルやライフステージの変化によって、住むのに最適な場所は変化するもの。その見極めは難しいが、だからこそ、部屋探しは楽しいともいえるだろう。

●調査概要
【調査対象駅】東京23区内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2018年3⽉1⽇~2018年5⽉31⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/07/157580_main.jpg

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YKK吉田前会長、71歳男のロマン! 地方創生、パッシブタウンからヤギ牧場まで あの人のお宅拝見[9]

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YKK吉田前会長、71歳男のロマン! 地方創生、パッシブタウンからヤギ牧場まで あの人のお宅拝見[9]

私が住宅雑誌の編集長時代から、多くの経営者にお話を伺ってきたなかで最も“人”として関心を引かれたのがYKKとYKK AP前会長(現両社取締役)の吉田忠裕さん(「吉」は、正しくは下が長いつちよし)。YKK AP社は窓などの建材メーカーであるが、本体YKK社はファスナーの世界的メーカー。早くからインターナショナルな視点をもち、ファッション業界の荒波にも揉まれた経験が、日本の住宅業界では異質な輝きを放っていた。

6月に会長職を退かれた吉田さん。そのバックグラウンドと最近の暮らしぶりを探るべく、YKK総本山の富山県黒部市に伺った。

連載【あの人のお宅拝見】
「月刊 HOUSING」編集⻑など長年住宅業界にかかわってきたジャーナリストのVivien藤井が、暮らしを楽しむ達人のお住まいを訪問。住生活にまつわるお話を伺いながら、住まいを、そして人生を豊かにするヒントを探ります。グローバル企業のリーダーを引退、富山県黒部での新生活

東京が本社のYKKですが、製造・開発など“技術の総本山”と位置付けられているのが富山県黒部市。創業者・吉田忠雄氏の生まれ故郷・魚津市の隣町というご縁。

東京から北陸新幹線に乗って約2時間半、黒部宇奈月温泉駅に到着。お宅訪問の前に、YKKセンターパークへ伺った。

一般の方も無料で見学できる、YKKのテーマパーク的な施設。右が一号館、左が二号館(写真撮影/片山貴博)

一般の方も無料で見学できる、YKKのテーマパーク的な施設。右が一号館、左が二号館(写真撮影/片山貴博)

富山県や黒部の紹介映像が上映されるシアターは迫力満点(実はテーマソングを歌っている歌手は、吉田さんのご息女!)展示ゾーンでは、ファスナーの仕組みや窓の機能など、子どもでも楽しく学べるようになっています。

NASAの宇宙服にもYKKファスナーが採用されているなんて知りませんでした!(写真撮影/片山貴博)

NASAの宇宙服にもYKKファスナーが採用されているなんて知りませんでした!(写真撮影/片山貴博)

そんな中でも私が一番感動したのは、「創業者 吉田忠雄ホール」。忠雄氏の生い立ちや起業の歴史、その功績を映像や肉声で知ることができます。
『善の巡環』(自社の利益だけを考えることなく、お客様/社会・取引先とともに繁栄してゆく)を唱えた忠雄氏。この時代の創業者の人生に触れると頭が下がり、「私も頑張ろう!」という気持ちにさせてくれます。

自然の力を利用して暮らす『パッシブタウン』、理想の街づくりに挑戦中

さて、その創業者の志を継ぐ吉田忠裕前会長のお宅がある、『パッシブタウン(PASSIVETOWN)』へと向かいます。

2016年に第1期街区(36戸)が竣工し、現在第3期街区まで入居済み。2025年までには約250戸が完成予定のプロジェクト。これを構想し、推進しているのが吉田さんご自身なのです。

日本海沿岸で沖から吹く夏のそよ風『あいの風』や、立山連峰からの豊富な地下水など富山の自然を利用したパッシブエネルギーで、エネルギー消費の少ない街・住まいを実現する実証実験を、吉田さんご自身で住まいながら研究されています。

『あいの風』を取り込む建築レイアウト。雪国なので駐車場は地下に、その分地上は緑が豊か。ランドスケープの設計は宮城俊作氏(写真撮影/片山貴博)

『あいの風』を取り込む建築レイアウト。雪国なので駐車場は地下に、その分地上は緑が豊か。ランドスケープの設計は宮城俊作氏(写真撮影/片山貴博)

東京から黒部への本社機能一部移転に伴い社員寮や社宅の整備も必要であったことから、その跡地で計画が始まったようですが、今は一般の方も入居する人気の賃貸住宅となっています。

第1期街区の設計は、パッシブハウスの研究者・小玉祐一郎氏。木質バイオマスボイラーや太陽熱、地下水による冷暖房システムによって光熱費を抑える計画(写真撮影/片山貴博)

第1期街区の設計は、パッシブハウスの研究者・小玉祐一郎氏。木質バイオマスボイラーや太陽熱、地下水による冷暖房システムによって光熱費を抑える計画(写真撮影/片山貴博)

第3期街区J棟とK棟(設計:森みわ氏)は、既存の社宅をリノベーションしたもの。資材削減のストック活用であり、減築によって屋上庭園を設けるなどの工夫が評価され、日本で初めてLEED※ Homes Awards 2017の最高位を受賞しました。
※LEED(Leadership in Energy & Environmental Design) 米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運用する環境配慮建築やエリア開発の認証システム

吉田さんは、第1期ー3期街区すべての住戸を住み渡り、現在は第2期街区にお住まいです。最近は神奈川のご家族との本宅と、こちらを半々程度の生活の様子。単身、どんなお宅になっているのでしょう。

第2期街区は、吉田さんが旧知の槇文彦氏による設計。建築界の大御所が手がけたパッシブ賃貸住宅!(写真撮影/片山貴博)

第2期街区は、吉田さんが旧知の槇文彦氏による設計。建築界の大御所が手がけたパッシブ賃貸住宅!(写真撮影/片山貴博)

1階のインターホンで呼び出すと、吉田さんが降りてきてお出迎えくださいました。

地上4階・地下1階(駐車場)建てマンション(写真撮影/片山貴博)

地上4階・地下1階(駐車場)建てマンション(写真撮影/片山貴博)

ご案内いただいたお住まいは、70平米ほどの1LDK。開口部がふんだんに取られた明るいリビングルームでお話を伺いました。

雪国では珍しい、窓・ドアが天井高まで大きく取られたマンション。YKK APの高断熱樹脂窓が実現する気持ちの良い空間(写真撮影/片山貴博)

雪国では珍しい、窓・ドアが天井高まで大きく取られたマンション。YKK APの高断熱樹脂窓が実現する気持ちの良い空間(写真撮影/片山貴博)

『パッシブタウン』は建築後にエネルギー削減目標が実現できているか、住人の住み心地はどうかなどを第三者の専門家が調査する『パッシブタウン性能評価プロジェクト』を実施しているそうです。取材当日も、評価プロジェクト委員会の専門家たちが東京から訪れて、住人と意見交換をしていたようです。

「私は事業主であり、住人であるという両方の立場ですが、いつも委員会に参加して双方の貴重な意見を伺っています」と、吉田さん。

立山連峰を眺めながら、企業として個人として何ができるか考える

『パッシブタウン』のプロジェクトを構想された経緯をお話してくださいました。

「創業当時からYKKの本社は東京でしたが、工場や研究開発を黒部に集約してきました。海外では本社を中心地に置かず、流通面や住環境の良い街を選んできたので、日本の東京一極集中をいろんな意味から回避したいと考えていました」

国が“地方創生”を唱える前から、黒部への本社機能一部移転や街づくりを進めていた吉田さん (写真撮影/片山貴博)

国が“地方創生”を唱える前から、黒部への本社機能一部移転や街づくりを進めていた吉田さん
(写真撮影/片山貴博)

「黒部へ東京から社員が異動して問題だったのは、大きな戸建てはあっても住み慣れた大きさのマンションが無いことだったんですよ。
そんな最中の2011年に東日本大震災が起こり、エネルギー問題に直面したのも当プロジェクトのキッカケ。富山の自然を活用したパッシブデザインにより、エネルギー消費量を抑える住まい方に挑戦しようと思ったのです」

「ここに座って、立山連峰を眺めてるんだ」と、お気に入りの窓際に座らせてくれた(写真撮影/片山貴博)

「ここに座って、立山連峰を眺めてるんだ」と、お気に入りの窓際に座らせてくれた(写真撮影/片山貴博)

バルコニーからも、雄大な山並みが望め、空気も抜群! 手前の3階建がリノベーションの第3期街区K棟、屋上庭園の緑が見える(写真撮影/片山貴博)

バルコニーからも、雄大な山並みが望め、空気も抜群! 手前の3階建がリノベーションの第3期街区K棟、屋上庭園の緑が見える(写真撮影/片山貴博)

それぞれ街区ごとに違う建築家を採用しながら、その知恵を出し合うプロジェクト運営をされていますが、全戸で外断熱システムなどの構造とともに効果を上げるのが、YKK APの樹脂窓『APW』シリーズの高断熱窓。

Low-E複層ガラスに加え、樹脂フレームはアルミ製と比べて断熱性能が高く、冬の結露も心配ない(筆者宅も樹脂フレーム採用!)(写真撮影/片山貴博)

Low-E複層ガラスに加え、樹脂フレームはアルミ製と比べて断熱性能が高く、冬の結露も心配ない(筆者宅も樹脂フレーム採用!)(写真撮影/片山貴博)

高効率全熱交換器の採用など省エネ設備を駆使した電力削減状況が、端末で見ることができると利用者の節電意識も高まる(写真撮影/片山貴博)

高効率全熱交換器の採用など省エネ設備を駆使した電力削減状況が、端末で見ることができると利用者の節電意識も高まる(写真撮影/片山貴博)

「机や椅子、鞄も好きなんだよ」黒部宅ではパーソナルデスクが“男の書斎”

今回は特別に寝室にある、お気に入りデスクまで見せてくださった。

米国人デザイナー、ジョージ・ネルソンのライティング・デスク&チェアー『Swag Leg シリーズ』(ハーマンミラー社)。スーツ&シャツはイタリア製しか着ないのに、アメリカ家具を選ぶところが吉田さんらしい!

「この椅子は、そんなに好きでも無いんだけど。一応、セットだからね」モダンデザインの名作に座り、機能的なパーソナルデスクがコンパクトな書斎(写真撮影/片山貴博)

「この椅子は、そんなに好きでも無いんだけど。一応、セットだからね」モダンデザインの名作に座り、機能的なパーソナルデスクがコンパクトな書斎(写真撮影/片山貴博)

デザイナーやプロダクトのヒストリーが記された『George Nelson』の書籍も(写真撮影/片山貴博)

デザイナーやプロダクトのヒストリーが記された『George Nelson』の書籍も(写真撮影/片山貴博)

デスクのデザイン設計図とともに飾られていた写真は、経済誌の写真展のものと、今年のお正月ご自身で撮られたご夫婦ツーショット。「着物はワイフからのプレゼント」だそう(写真撮影/片山貴博)

デスクのデザイン設計図とともに飾られていた写真は、経済誌の写真展のものと、今年のお正月ご自身で撮られたご夫婦ツーショット。「着物はワイフからのプレゼント」だそう(写真撮影/片山貴博)

金属製の脚を成型する技術“Swag(スウェージ)”が名前の由来。珍しい黒色のデスクが、白い椅子とともに寝室のモノトーンに収まっていた(写真撮影/片山貴博)

金属製の脚を成型する技術“Swag(スウェージ)”が名前の由来。珍しい黒色のデスクが、白い椅子とともに寝室のモノトーンに収まっていた(写真撮影/片山貴博)

『パッシブタウン』での吉田さんの暮らしを垣間見ることができましたが、実は黒部生活の本題はここから!
「黒部でヤギ牧場をやっている」と以前から伺っていて、遂に、その現場へご案内いただくことになりました。

“Think globally, Act locally”を、ここ黒部で実践

「引退しても、何か没頭できる仕事が欲しいと考えていた」ところに、黒部牧場を再生する機会に遭遇したそう。

「富山湾は魚の宝庫、なので山側にも何か観光レジャーになるものがあっても良いと思ってね。チーズが好きなのでヤギ牧場を始めて、黒部で世界に誇れる六次産業をやってみようと思ったわけ」

早速、吉田さんの運転で助手席に乗せていただき牧場へ向かいます。

愛車スバル[フォレスター]雪道もガッツリ走ります!(写真撮影/片山貴博)

愛車スバル[フォレスター]雪道もガッツリ走ります!(写真撮影/片山貴博)

ちなみに、吉田さんは社長・会長時代も役員車を使わずに、東京本社へ神奈川の自宅から1時間半かけて電車通勤。「電車のほうが早いし効率が良い」と。その上、お酒を飲まない吉田さんは「社員に、僕が送るから飲んで良いよって言うんだ」と話します。黒部では本当に社員を送ったりもするそうです。
創業社長の跡取りに育ちながら、分け隔てなく合理的に物事を考える、この姿勢には驚かされます。

20分ほど山に向かって走り、『くろべ牧場 まきばの風』に到着。

富山湾を見下ろす山の斜面に広がる牧場、「向こうが能登半島だよ」(写真撮影/片山貴博)

富山湾を見下ろす山の斜面に広がる牧場、「向こうが能登半島だよ」(写真撮影/片山貴博)

YKKとは全く関係なく、ファミリービジネスとして牧場を一から始めるって……凄い発想。吉田さんは、やっぱりアメリカ的。米国人サラリーマンの夢は、牧場をもつことって良く聞きますから。
「ブラジルの農園は……スイスのバスや鉄道は……ドイツの再生可能エネルギー政策は……」と次々出てくる世界の話は、吉田さんの実体験による生きた知恵。
それを、黒部で活かす。これこそ真の“Think globally, Act locally”

吉田さん直筆の“ゆるい”MAPが微笑ましい(写真撮影/片山貴博)

吉田さん直筆の“ゆるい”MAPが微笑ましい(写真撮影/片山貴博)

ヤギ飼育舎の手前にはラベンダーが咲き誇り、いわゆる牧歌的な美しい風景(写真撮影/片山貴博)

ヤギ飼育舎の手前にはラベンダーが咲き誇り、いわゆる牧歌的な美しい風景(写真撮影/片山貴博)

われわれ取材班も長靴に履き替えて、ヤギ牧場見学へ。吉田さんは、赤いMyキャップを被って牧場主に変身!

赤いキャップ、ちょっとトランプ大統領風?(写真撮影/片山貴博)

赤いキャップ、ちょっとトランプ大統領風?(写真撮影/片山貴博)

米国大統領といえば、ジミー・カーター元大統領とは州知事時代からのお付き合い。何と1977年大統領就任式に吉田さんのお父様とお母様は特等席で臨席されたというお話でした。

ヤギは100頭から200頭。生まれては育て、ほかへ譲ったりもしながら徐々に増やしてきたそうです。

ヤギは好奇心旺盛で直ぐに寄ってくる。筆者の指を吸う、子ヤギ。カワイイ!(写真撮影/片山貴博)

ヤギは好奇心旺盛で直ぐに寄ってくる。筆者の指を吸う、子ヤギ。カワイイ!(写真撮影/片山貴博)

富山湾から吹くミネラルたっぷりの風を受けた草を食べ、黒部の美味しい水を飲み健康に育つ子ヤギたち(写真撮影/片山貴博)

富山湾から吹くミネラルたっぷりの風を受けた草を食べ、黒部の美味しい水を飲み健康に育つ子ヤギたち(写真撮影/片山貴博)

「失敗しても成功せよ」『善の巡環』がここにも

ヤギ牧場に似つかわしくないモダンな建物、これは吉田さんと旧知であるイタリア・建築デザイン界の巨匠、マンジャロッティ事務所が設計したレセプションハウス。

レセプションハウス「La Capra」。マンジャロッティ氏は約30年前に東京事務所を設立、2012年に死去(写真提供/マンジャロッティ事務所)

レセプションハウス「La Capra」。マンジャロッティ氏は約30年前に東京事務所を設立、2012年に死去(写真提供/マンジャロッティ事務所)

ヴェネチアンガラスのモダンなシャンデリア「ジョガリ」、テーブル・棚「カヴァレット」と椅子「トレトレ」も全てマンジャロッティによるデザイン(写真撮影/片山貴博)

ヴェネチアンガラスのモダンなシャンデリア「ジョガリ」、テーブル・棚「カヴァレット」と椅子「トレトレ」も全てマンジャロッティによるデザイン(写真撮影/片山貴博)

レセプションハウスの中には、イタリアのチーズ・コンテストで受賞した証明書なども飾られています。

「チーズづくりは試行錯誤、イタリアのチーズ職人の師匠を得てからも5年間ほど格闘しました」(写真撮影/片山貴博)

「チーズづくりは試行錯誤、イタリアのチーズ職人の師匠を得てからも5年間ほど格闘しました」(写真撮影/片山貴博)

『失敗しても成功せよ』と言うYKK創業者である父上、吉田忠雄氏の言葉。
やってみて、失敗しないと成功への道は開けない。そして、やるからには成功させるのだという意志が、このヤギ牧場やチーズづくりにもつながっていると感じました。

“マーケティングの父”と称される、コトラー教授の愛弟子でもある吉田さん。チーズづくりや牧場経営にも、その手腕が発揮されている!?(写真撮影/片山貴博)

“マーケティングの父”と称される、コトラー教授の愛弟子でもある吉田さん。チーズづくりや牧場経営にも、その手腕が発揮されている!?(写真撮影/片山貴博)

富山湾の深層水から採った塩が熟成させた、素晴らしいチーズをいただきました。リコッタ(写真:右上)が、絶品!『カプリーノ』のしょうゆ味(写真:右下)は日本酒にも合いそう(写真撮影/片山貴博)

富山湾の深層水から採った塩が熟成させた、素晴らしいチーズをいただきました。リコッタ(写真:右上)が、絶品!『カプリーノ』のしょうゆ味(写真:右下)は日本酒にも合いそう(写真撮影/片山貴博)

会長引退後の吉田さんは、新たにベンチャー企業の事業家として生き生きと輝いていました。

「あいの風」を感じながら、黒部から地方創生の夢を語ってくださる吉田さん。日本海・富山湾を背景に、牧場のベンチにて(写真撮影/片山貴博)

「あいの風」を感じながら、黒部から地方創生の夢を語ってくださる吉田さん。日本海・富山湾を背景に、牧場のベンチにて(写真撮影/片山貴博)

「シンプルに、『ここに住んでみたい!』と思う魅力的な街にする事が、地方創生なのだと思ってる。仕事があれば、若い人も富山に住みたいと思うはず。だから、次の事業ももう考えているよ!」と、悪巧みをするように微笑む吉田さん。

自分が熱中できる事業を富山に起業し、人を呼び、地域を元気にする『善の巡環』を率先する姿は、日本の経営者たちも憧れる70代の姿ではないでしょうか。

吉田忠裕
YKK/YKK AP取締役(前会長CEO)。1947年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、米国のノースウエスタン大学経営大学院(ケロッグ)修了、“マーケティングの父”と称されるF・コトラー教授に学ぶ(後に、大学院のアドバイザリーボードのメンバーに)。1972年父、吉田忠雄創業のYKK入社(旧吉田興業)。1990年YKK AP/1993年YKK社長、2011年両社会長CEO歴任後、2018年6月退任。
2017年、永年にわたる企業活動を通じての建築文化への貢献により日本建築学会文化賞を受賞。
【YKK】ホームページ
【YKK AP】ホームページ
【PASSIVETOWN】ホームページ
【ヤギチーズ専門「Y&Co」】ホームページ元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/07/157600_main.jpg

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BEAMS流インテリア[3] 休日が待ち遠しい!鎌倉のモダンなこだわりの注文住宅ができるまで

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BEAMS流インテリア[3] 休日が待ち遠しい!鎌倉のモダンなこだわりの注文住宅ができるまで

ご夫婦ともにスーパーバイザーの村口良(むらぐち・りょう)さんと恭子(きょうこ)さん。40歳前後のお2人、そろそろ脱賃貸をとマイホームに選んだのは、立地も建物もどちらも妥協しない注文住宅。古都・鎌倉駅に近い土地を選び、建物もデザインや素材ひとつひとつにこだわり、しかも予算内に収めたアイデアいっぱいの新居を紹介しよう。●BEAMSスタッフのお住まい拝見・魅せるインテリア術
センス抜群の洋服や小物等の情報発信を続けるBEAMS(ビームス)のバイヤー、プレス、ショップスタッフ……。その美意識と情報量なら、プライベートの住まいや暮らしも素敵に違いない! 5軒のご自宅を訪問し、モノ選びや収納の秘訣などを伺ってきました。ファッションだけでなくライフスタイルもおしゃれに。予算内で土地も建物も妥協なしバルコニーに面した2階リビングは明るく風通しもいい開放的でモダンな空間(写真撮影/飯田照明)

バルコニーに面した2階リビングは明るく風通しもいい開放的でモダンな空間(写真撮影/飯田照明)

ともにファッション好きで、BEAMSは憧れの職場だったという村口夫妻。若いころは洋服ばかりたくさん買って、後は飲み代に消えていたというが、会社の先輩の家に遊びに行き、そのライフスタイルに刺激を受け、考え方が変わったという。「ファッションだけでなくライフスタイルや生き方そのものをお洒落にしようと、目で盗んでインテリアセンスを磨きました」と村口さん。

「予算に限りがあるものの、土地・建物どちらも妥協したくなかった」というお2人がマイホームに選んだのは、土地探しから始める注文住宅。立地は通勤に便利な都内か、自然豊かな古都・鎌倉。運よく探し始めてすぐに、鎌倉駅から徒歩圏の、自然にも文化にも恵まれたイメージ通りの土地に巡り合い購入した。

知人でセンスも信頼できるデザイナーに依頼して、家のデザインイメージや間取りも決まった。そこまではとんとん拍子だったが、デザイナーは関西在住。地元でイメージ通りの家を建ててくれる工務店探しをすることになり、これが難航した。別プランを提案されたり、大幅に予算オーバーになったりを繰り返し、施工会社が決まるまでに20社近くとやり取りをする結果となった。

1階

1階

2階。村口さん夫妻とお父様、大人3人が暮らす家。玄関は土間スペースになっていて広々、主な生活の場は2階のオープンなLDK(村口さん提供の間取図をもとにSUUMOジャーナル編集部にて作成)

2階。村口さん夫妻とお父様、大人3人が暮らす家。玄関は土間スペースになっていて広々、主な生活の場は2階のオープンなLDK(村口さん提供の間取図をもとにSUUMOジャーナル編集部にて作成)

古い街並みになじむモダンな家に。イメージに合う建具を自ら探し出し、特注も

新居のコンセプトは古都・鎌倉のモダンな家。古い街並みの中に、コンクリートやモルタルに真鍮(しんちゅう)や鉄などの金属を組み合わせた、モダンなイメージにこだわった。階段やバルコニーの手すりや寝室ドアはオーダーの鉄製。鉄の素材にこだわっていたものの、工務店に提案されたものがコスト的に合わず、自分で新潟県燕三条の会社を探し出して特注したという。

LDKと寝室を仕切るドア(写真右手)も新潟で特注した鉄製。ウォークインクローゼットのガラス窓は鉄製のドアと似たデザインで、素材の木枠を黒の塗装にしてコストダウン(写真撮影/飯田照明)

LDKと寝室を仕切るドア(写真右手)も新潟で特注した鉄製。ウォークインクローゼットのガラス窓は鉄製のドアと似たデザインで、素材の木枠を黒の塗装にしてコストダウン(写真撮影/飯田照明)

キッチンもイメージに合う既製品が高かったので、コンロなどのパーツはデザイン性の高い物を選び、モルタルとステンレスの組み合わせで造作して予算内に収めた。家づくりの過程ひとつひとつに手間をかけ、毎晩のようにインターネットで情報収集し、毎週末工務店と打ち合わせを繰り返したという努力の甲斐あって、イメージ通りの建物がなんと2000万円以内という予算内で出来上がった。

左手がこだわりの鉄製階段の手すり。2階のLDKはモルタルで造作したオープンキッチンの開放的な空間。ワンルームのLDKのなかでキッチン部分は天井に木を用いてコーナーを区切っている。オープンな大空間のなかでコーナーごとに素材で変化をつけるテクニックは店舗設計で学んだという(写真撮影/飯田照明)

左手がこだわりの鉄製階段の手すり。2階のLDKはモルタルで造作したオープンキッチンの開放的な空間。ワンルームのLDKのなかでキッチン部分は天井に木を用いてコーナーを区切っている。オープンな大空間のなかでコーナーごとに素材で変化をつけるテクニックは店舗設計で学んだという(写真撮影/飯田照明)

木の天井にステンレスやモルタルの厨房機器や収納棚で素材をまとめたキッチンスペース。調味料や調理道具類も全て見せる収納だが、素材や色がそろっているのでスッキリ見える(写真撮影/飯田照明)

木の天井にステンレスやモルタルの厨房機器や収納棚で素材をまとめたキッチンスペース。調味料や調理道具類も全て見せる収納だが、素材や色がそろっているのでスッキリ見える(写真撮影/飯田照明)

とはいえ、「少し無理してでも、妥協せずその時に最大限にいい物を選ぶべき」とアドバイスする村口さん。実はコストダウンのため玄関の照明に安い物を選んだものの、毎日見るたびに気になり、結局入居後早々に変更したという。「最初からいいほうを選んでいたら工事代もかからなかったのに(笑)」。

徹底的な「見せる収納」、絵になる秘訣は妥協しないモノ選びと統一感

村口家の収納の特徴は徹底した「見せる収納」。ウォークインクローゼットもキッチンの収納棚も全てオープンで、トイレットぺーパーのストックさえも見せて収納しているという。

「見せる収納の秘訣は、置きっぱなしになっていても絵になる、見せていい物を選ぶこと」という村口さん。「手鏡は北欧の木の置物のようなデザインのものに、ハンドクリームは国産でなくデザインが洒落た海外の缶入りに変えてリビングに置いています」と恭子さん。

細かなものが集まりがちなキッチンも全てオープン。整然として見えるのは、調理器具のメーカーがBALMUDAで統一されていたり、並んだ調味料ラベルを包装紙でくるんでいたり、細かい物は籠や箱や壺などの入れ物にまとめて入れるなどの工夫をしているから。使いやすく、きれいに見えるちょっとした工夫を積み重ねているのだ。

服も見せる収納。「畳むのは2人ともお手のもの。20年やっているプロですから(笑)」と恭子さん。「色や素材別にまとめるときれいに見えます」と村口さん。仕事柄服も増える一方だが、定期的に人にプレゼントしたり切ってふきんとして使ったりして総量をセーブするように心がけている。

ダイニングの食器棚は昭和テイスト満載の小学校の靴箱を利用。「インターネットで探したもので約8000円です」。このセンスと探究心はお見事(写真撮影/飯田照明)

ダイニングの食器棚は昭和テイスト満載の小学校の靴箱を利用。「インターネットで探したもので約8000円です」。このセンスと探究心はお見事(写真撮影/飯田照明)

寝室の収納もオープンな見せる収納。収納棚とデンマーク製アンティーク脚立の素材を木であわせているので統一感がある(写真撮影/飯田照明)

寝室の収納もオープンな見せる収納。収納棚とデンマーク製アンティーク脚立の素材を木であわせているので統一感がある(写真撮影/飯田照明)

1階玄関脇のクロークスペースは服と靴類中心。洋服は2人で共用することも多いので個別にわけるのではなく共通で素材別色別にまとめてすっきり見せている。ハンガーから落ちないよう前ボタンは留めて掛ける、が村口家のルール(写真撮影/飯田照明)

1階玄関脇のクロークスペースは服と靴類中心。洋服は2人で共用することも多いので個別にわけるのではなく共通で素材別色別にまとめてすっきり見せている。ハンガーから落ちないよう前ボタンは留めて掛ける、が村口家のルール(写真撮影/飯田照明)

お気に入りの靴は土間に置いたインドのアンティークのシューズキャビネットにディスプレーして見せる収納に(写真撮影/飯田照明)

お気に入りの靴は土間に置いたインドのアンティークのシューズキャビネットにディスプレーして見せる収納に(写真撮影/飯田照明)

引越しをきっかけに仕事中心だったライフスタイルが激変したという村口夫妻。庭づくりや周辺散策などやりたいことが沢たくさんあり、休日が待ち遠しいという。「仕事の張り合いにもなって、住まいって大事だなとしみじみ」と恭子さん。ベランダに照明をつけ、お気に入りの郵便受けを設置し、庭をモダンな金属製フェンスで囲み、ベランダに置く植物を選ぶ……まだまだこだわりの住まいは進化を続けています。

●取材協力
・BEAMS元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/07/157764_main.jpg

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大切な命を守るために! 知っておきたい耐震基準や防災グッズのそろえ方【地震対策まとめ】

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大切な命を守るために! 知っておきたい耐震基準や防災グッズの揃え方

PLUS+3

毎日どこかしら揺れている地震大国・日本。6月18日には大阪府北部で最大震度6弱の地震が発生、大きな被害をもたらしました。SUUMOジャーナルがこれまでに掲載してきた記事のなかから、耐震基準や建築技術の種類、補強工事の内容や費用、用意しておきたい防災グッズなど、地震・災害にまつわる内容のものをピックアップしました。
いざというときのために、あらためて住まいのつくりや日ごろの備えを振り返ってみませんか?
地震にそなえた建築技術と耐震基準の見直しの歴史

●「免震」「耐震」「制震」…大地震に強いのはどれ?
(2013年1月25日 (金)掲載)

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“<耐震構造>
壁や柱を強化したり、補強材を入れることで建物自体を堅くして振動に対抗する。
<制震構造>
建物内にダンパーと呼ばれる振動軽減装置を設置し、地震のエネルギーを吸収。建物に粘りをもたせて振動を抑える。
<免震構造>
建物と地面の間に免震装置を設置。建物を地面から絶縁して、振動を伝えない。“

“いずれも、建物自体の損壊を防ぐという点では優れた工法ですが、「免震」の場合はさらに「建物内の揺れを軽減する」という利点があります。基礎部分に埋め込まれた免震装置が「激しい地震エネルギーを吸収」→「ゆるやかな横揺れに変え、家具の転倒などの被害を最小限に食い止める」というもので、耐震・制震に比べ揺れを三分の一程度に抑えられるそう。“

●地震のたびに強くなってきた耐震基準。旧耐震と新耐震をおさらい
(2016年3月11日 (金)掲載)

(画像/iStock / thinkstock)

(画像/iStock / thinkstock)

“耐震設計法が抜本的に見直されたのは1978年の宮城県沖地震後。1981年に施行された「新耐震設計基準」(新耐震)だ。現在では1981年以前の基準を「旧耐震」、以後の設計法を「新耐震」と呼んでいる。それまでの「旧耐震」では、震度5程度の地震に耐えられることが基準。しかし、「新耐震」では、建物の倒壊を回避するだけでなく、建物内にいる人の命を守ることに主眼がおかれ、比較的よく起きる中程度の地震では軽度なひび割れ程度、まれに起きる震度6~7程度の地震では崩壊・倒壊しない耐震性を求めている。“

“しかし、新耐震基準だから100%大丈夫というわけではない。”
“地震に強いか弱いかは、さまざまな要因が影響するからだ。では、どんな家が地震に強いのだろう。”

“まずは「建物の形」。地震に強いのは上から見たときに正方形や長方形のシンプルな形の建物。”
“また、建物だけでなく地盤も耐震性に影響する。弱い地盤の場合、同じ震度でも建物に伝わる揺れが大きくなる。”

いざというときのための耐震診断や補強工事、費用はどれくらい?

●「私の家は大丈夫?」地震が来る前に知っておきたい耐震診断
(2015年5月29日 (金)掲載)

(画像/iStock / thinkstock)

(画像/iStock / thinkstock)

“地震が引き起こす被害のうち、特に大きいのは「家の倒壊などによる圧死」と日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下:木耐協)の関さん。「柱や梁、天井の下敷きになると、救助なしでの脱出は難しくなります」“

“「自分の家は地震が来た場合大丈夫なのか?」と不安に思うならば、まずはきちんと耐震診断を受けることが重要。自分の家が倒壊する可能性はどれくらいなのかを調べておくにこしたことはないといえそうだ。“

“耐震診断は自治体や民間の団体、リフォーム会社に依頼できる。無料のところも15万~20万円ほどかかるところもあるが、診断内容を確認して依頼しよう。補強工事にかかる費用は、建物の状態などにより異なるが、100万円未満で行うケースも少なくない。“

“一定条件をクリアすると、国や自治体の減税や補助金が受けられることも。「補強レベルを高めて補助金を受けるか、簡易補強にして工事費を抑えるかは考え方次第。家族やリフォーム会社とよく相談して決めましょう」(関さん)“

●耐震補強工事の平均額は約152万円、倒壊する木造住宅の共通点とは
(2015年9月16日 (水)掲載)

(画像/iStock / thinkstock)

(画像/iStock / thinkstock)

“平成18年4月~27年6月に耐震診断した2階建て以下の木造住宅2万2626棟を分析したところ、現行の耐震性を満たしている住宅(「倒壊しない」「一応倒壊しない」)は7.9%で、耐震性を満たしていない住宅(「倒壊する可能性がある」16.2%「倒壊する可能性が高い」75.9%)は92.1%に達した。平均築年数は、約34年だった。”

“このうち、耐震補強工事の金額について回答があったものの平均施工金額は、約152万円(中央値128万円)だった。”

“木耐協によると、倒壊する木造住宅には、共通の弱点があるという。
(1)壁の量が少ない
(2)壁の入れ方のバランスが悪い
(3)柱のホゾ抜け対策がされていない
(4)腐朽や蟻害で弱くなっていた
このうちホゾ抜け対策とは、土台と柱を接合する際に、片側に突起(ホゾ)、もう片側に穴を開けて継ぐのだが、地震の揺れで柱が抜けないように接合金物を取り付けることだ。“

今すぐできる家具の転倒防止から非常食の準備まで

●地震に備えて…カンタン&壁を傷つけない家具の転倒防止策
(2015年1月16日 (金)掲載)

(写真撮影/玉置 豊)

(写真撮影/玉置 豊)

“近年発生した地震で、怪我をした原因の約3割~5割は、家具類の転倒・落下・移動によるもの。そこで家具類の転倒防止が肝心になってくるのですが、壁や家具に傷をつけるのが嫌だったり、器具の取り付けが面倒そうだったりと、いつくるか分からない地震だからこそ腰が重くなってしまうという人も多いと思います。“

“しかし、いざホームセンターの防災グッズコーナーへ行ってみると、壁にも家具にも傷をつけることがなく、設置も簡単な転倒防止器具が多数販売されていました。突っ張って支える転倒防止自在ポールは、家具から天井までの距離さえ測って購入すれば、設置はとても簡単です。また家具の下に挟むストッパー式の器具と合わせることで、ネジで固定するタイプの器具と同等の耐震効果が期待できるそうです。 “

“もっと簡単な転倒防止対策としては、家具の下に振動を吸収するゲル状のマットを敷くという方法もあります。これなら補強したい箇所に挟むだけで設置が可能なので、固定が難しいテレビやパソコン、あるいは花瓶などにも応用が利きそうです。“

●1万円台でここまでできる! 防災グッズのそろえ方
(2016年6月20日 (月)掲載)

(写真撮影/フルカワカイ)

(写真撮影/フルカワカイ)

“オススメ商品としてはラップとベビーパウダー。ラップは紙皿に巻いた上で食事をすると洗う手間が省ける、というのは誰でも知っていると思いますが、怪我をした場合の傷口の圧迫や、防水、紐状にして物を縛る等、さまざまな用途に使え、被災地の方から送って欲しいと多くの要望がありました。
また衛生シートで全身を拭いたあとにベビーパウダーを体や髪に使うとサラサラ感が持続するので不快感が軽減します。“

“「防災グッズをそろえることは大変なように感じるかもしれませんが、ホームセンターに行けば1時間位で購入できます。震災が起きた後だと在庫も一気になくなって手に入りにくくなってしまうので、今のうちにそろえておくことで過不足ない準備が可能になります。家族構成を踏まえて生活に最低限必要なものをリスト化するのも良いですね。キャンプの準備のように、イベント感覚でやる方が楽しいかもしれません」“

“『防災グッズ』は品目が多い分、手間と時間が必要なように感じていたが、実際にそろえてみると費用もそこまで高くなく、想像していたよりもすんなりとそろえられたという印象だった。“

●非常食の備えは万全? おすすめを食べ比べてみた
(2018年4月9日 (月)掲載)

(画像/PIXTA)

(画像/PIXTA)

“非常時に役立つ食料のポイントは、「調理が簡単で栄養が高いもの。加えて災害時には野菜が手に入りにくいのでビタミン・繊維質のとれるものもストックするとよい」とのこと。“

“杉田エース IZAMESHI Deli(イザメシデリ) 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮
210g 500円(税抜) 賞味期限3年
オフィス防災EXPOで「第1回 日本災害食大賞」美味しさ部門のグランプリに選ばれた一品。
根菜がゴロゴロと入っているのがうれしいですよね。化学調味料無添加で、優しい出汁の味がします。冷えたままでもおいしくいただけました。“

“戦闘糧食II型 あつあつ防災ミリメシ「牛丼」
210g 1400円(税抜・編集部調べ) 賞味期限3年
東日本大震災の洪水の被害にあった方のお話をうかがったとき「温かい食事ができたとき、やっとほっとできた」とおっしゃっていました。そこで火がなくても温かく食べられる加熱剤つき非常食をお試し! こちらは実際に航空自衛隊でも活用されている、いわゆる「ミリ飯」です。
食べる前に加熱剤で温めます。20分ぐらいで温めは終了。白飯と具材をお皿に入れたら温かい牛丼の完成! 具材は煮込んだネギがトロッとしていてお肉はホロホロ。少し甘めの味付けで元気がでそう! やはり、温かいご飯はおいしいですね。“

いつ、どこで起こるか分からない地震。住まいの構造理解や防災グッズの準備、家具の固定など、対策しておきたいことはたくさんあります。倒壊した家具を買い替えたい、衛生用品が欲しい、と災害後にいろいろそろえたくてもなかなか手に入らないかもしれません。
いざというとき困らないために、あらためて日ごろの対策を振り返ってみてはいかがでしょうか。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/06/156551_main.jpg

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建築家とデザイナーが二人三脚でつくりあげた、自分らしさあふれる住まい テーマのある暮らし[5]

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建築家とデザイナーが二人三脚でつくり上げた、自分らしさあふれる住まい テーマのある暮らし[5]

デザイナーとして活躍するSさんが世田谷・駒沢公園のそばに建てたのは、店舗とオフィス、住まいを一体化させた一戸建て。建築家へのオーダーは「ただの“ハコ”みたいな家」だったそう。
その意を汲んだ建築家が提案したシンプルな“ハコ”に、Sさんが手を加えることによって、遊び心に満ちた空間の数々が仕上がりました。建築家とデザイナーの二人三脚によって生み出された、自分らしい住まいをつくるコツがたくさん隠されています。【連載】
この連載では、ひとつのテーマで住まいをつくりあげた方たちにインタビュー。自分らしい空間をつくることになったきっかけやそのライフスタイル、日々豊かに過ごすためのヒントをお伺いします。建築家にオーダーしたのは「シンプルな“ハコ”のような家」

Sさんがこの家を建てたのは、10年前のこと。
オーダーメイドTシャツを制作し、販売するブランドを立ち上げるという人生の転機を迎え、これまでのマンションから、店舗とオフィス、さらには5人家族で暮らす住まいを兼ね備えた一戸建てに住み替えようと考えたのが発端でした。

当初は中古の一戸建てを購入して、リノベーションすることを考えていたSさん。昔から好きだったという駒沢公園の周辺に限定して探したのですが、なかなか条件に合う物件が見つからず、それならば、とゼロから建てることにしたのだそう。

「建築事務所を探していたら、妻が雑誌の切り抜きを持ってきて、この人に頼もうって言うんです。建築家・長洲研志(ながすけんじ)さんのご自宅の写真だったのですが、よく見えないくらい小さい写真なんですよ。まあ一度行ってみるか、という感じで訪ねたのがスタートなんです」

石畳のアプローチは、まるで駒沢公園と家をつなぐ小道のよう。「このアプローチが少しカーブを描いていて、家全体が外から見えないところがいいですね」とSさん(写真撮影/内海明啓)

石畳のアプローチは、まるで駒沢公園と家をつなぐ小道のよう。「このアプローチが少しカーブを描いていて、家全体が外から見えないところがいいですね」とSさん(写真撮影/内海明啓)

長洲さんに伝えたのは、「シンプルな“ハコ”のような家をつくってほしい」ということだけ。具体的な要望はほとんど出さず、イメージとして渡したのも倉庫や工場の写真だったそうです。

そこには、自分自身で手を入れて、できるかぎり自由に、自分らしい家に仕上げたいという、デザイナーとしてのSさんの思いがありました。

それに対して長洲さんが提案したプランはたったひとつ。
3階建てコンクリート打ち放しの躯体の中心部に回り階段をつくり、その階段をぐるりと囲むようにフロアを回遊式にした建築でした。

「外から入ってきて、階段をぐるぐると上がって屋上へ抜けていく、“外から外へ”というイメージの家なんです」とSさん。

さらに、家の中には、公園を想像させるような仕掛けがあちこちにあり、「ここは駒沢公園の一部なのでは……」という錯覚を抱きそうになるほど。

そう、長洲さんがつくったのは“ただのハコ”ではなく、Sさんらしさが十分に発揮できるように計算され尽くした “遊び甲斐のあるハコ”だったのです。

右手は家族が使う玄関、左手は店舗の入り口。ひとつの建物でありながら、公私が上手に切り分けられています(写真撮影/内海明啓)

右手は家族が使う玄関、左手は店舗の入り口。ひとつの建物でありながら、公私が上手に切り分けられています(写真撮影/内海明啓)

1階はプライベートと切り離して、店舗とオフィスに

こちらが、店舗スペース。
18平米ほどのこじんまりしたスペースなのに広く感じられるのは、床を低くつくっている分、天井が高くなっているからでしょうか。
2段だけ下りる半円形の階段は、まるで公園の一部のよう。すぐ近くにある駒沢公園からそのままつながっているような、不思議な感覚を抱かせてくれます。

入り口のドアは、なんとSさんの手づくりだそう。
「家を建てている間に予算がかさんでしまって、自分でドアをつくることになりました。長洲さんと一緒にジョイフル本田に2×4の木材を買いに行ったりして、楽しかったですよ(笑)。ドアの外側に設置した高さ8mほどの雨戸も自作です。結果的に、かなり自分でやりましたね」

無機質な雰囲気とアンティークのような温かみがバランス良く共存する店舗スペース。「この部屋で一番古いものといえば、文化村のオークションで落札したダリの版画。この部屋の雰囲気にぴったりでしょう?」(写真撮影/内海明啓)

無機質な雰囲気とアンティークのような温かみがバランス良く共存する店舗スペース。「この部屋で一番古いものといえば、文化村のオークションで落札したダリの版画。この部屋の雰囲気にぴったりでしょう?」(写真撮影/内海明啓)

陳列棚は、建築資材の輸入販売店GALLUPで古材のように加工してもらった板を使用。床は、モルタルを塗った上にポスターを貼り、ニスで仕上げたそう。10年たって、良い味が出てきています(写真撮影/内海明啓)

陳列棚は、建築資材の輸入販売店GALLUPで古材のように加工してもらった板を使用。床は、モルタルを塗った上にポスターを貼り、ニスで仕上げたそう。10年たって、良い味が出てきています(写真撮影/内海明啓)

一般的な住宅と違って収納がないことも、この家の特徴のひとつ。
「収納をつくると、それに従ってほかが決まってくるから、スペースを自由に使えなくなるでしょう? だからつくらないでほしい、とお願いしたんです」
Sさんが徹底して、自由さを求めたことが伝わってきます。

店舗の奥、まさに秘密基地のようなスペースがSさんのオフィス。
3人の子どもたちの父親でもあるSさんにとって、ひとつの建物の中で仕事と家族との時間を両立していくのは、なかなか大変なことです。
「1階は仕事場、2階と3階が家族のスペース、ときっちりフロアを分けたことで仕事に集中できるようになりました」

デスクはTHE CONRAN SHOPのもの。「このデスク、実は長すぎたので左側を切り落として、端材を棚として壁面に取り付けてあるんです」。小さな工夫が空間をよりセンス良く見せています(写真撮影/内海明啓)

デスクはTHE CONRAN SHOPのもの。「このデスク、実は長すぎたので左側を切り落として、端材を棚として壁面に取り付けてあるんです」。小さな工夫が空間をよりセンス良く見せています(写真撮影/内海明啓)

遊び心あふれる2階は、子どもたちのために

家族用の玄関から中に入ると、コンクリート製の洗面台が。ここもまた、公園の一部のような雰囲気です。
「収納をつくらない」というオーダーをしたSさんですが、唯一、玄関脇の階段下の三角スペースにだけは下駄箱をつくってもらったのだそう。

片付けすぎず、かといって「見せる収納」を気取るのでもなく、モノが雑然と並ぶ様子が海外のインテリア誌のよう。ひとつひとつのモノがしっかりとセレクトされているからなのでしょう(写真撮影/内海明啓)

片付けすぎず、かといって「見せる収納」を気取るのでもなく、モノが雑然と並ぶ様子が海外のインテリア誌のよう。ひとつひとつのモノがしっかりとセレクトされているからなのでしょう(写真撮影/内海明啓)

玄関脇の階段から、子ども部屋とバスルームのある2階に上がってみましょう。
回り階段をぐるぐると上がっていくと、そのまま屋上につながり、その途中に2階、3階の回遊式フロアがつくられています。

各フロアは約54平米とのことですが、広々と感じられるのは仕切りがないからでしょうか。「子どもは男の子と女の子なので、いずれ仕切りが欲しいと言われるでしょうね。そのときにはつくろうと思います」とSさん。

階段周辺のインテリアも個性的。赤い絨毯(じゅうたん)に洋書が並べられたスタイリッシュなスペースのすぐそばには、これまた公園仕様のネットが掛けられています(写真撮影/内海明啓)

階段周辺のインテリアも個性的。赤い絨毯(じゅうたん)に洋書が並べられたスタイリッシュなスペースのすぐそばには、これまた公園仕様のネットが掛けられています(写真撮影/内海明啓)

階段を上がったところの洗面台も、公園の水飲み場のよう。この洗面台は、イタリアのバスブランドagapeのもの。段ボール製の額縁に入れて飾られたお子さんの絵もアーティスティック(写真撮影/内海明啓)

階段を上がったところの洗面台も、公園の水飲み場のよう。この洗面台は、イタリアのバスブランドagapeのもの。段ボール製の額縁に入れて飾られたお子さんの絵もアーティスティック(写真撮影/内海明啓)

仕切りもなく、ぐるりとひとまわりできる子ども部屋を3人の子どもたちが駆けまわる様子が目に浮かぶようです。「建築中に通いつめて、自分で床や壁を塗ったり、人工芝を敷いたりしました」(写真撮影/内海明啓)

仕切りもなく、ぐるりとひとまわりできる子ども部屋を3人の子どもたちが駆けまわる様子が目に浮かぶようです。「建築中に通いつめて、自分で床や壁を塗ったり、人工芝を敷いたりしました」(写真撮影/内海明啓)

洗面所のドアは、なんとフェンス! ここにも公園感が漂っています。中にある浴室のドアはガラス張り(写真撮影/内海明啓)

洗面所のドアは、なんとフェンス! ここにも公園感が漂っています。中にある浴室のドアはガラス張り(写真撮影/内海明啓)

ビビッドなイエローのタイルが陽気な雰囲気を醸し出すバスルーム。オレンジ色のシャワーは、洗面台と同じくイタリアのバスブランドagapeのもの(写真撮影/内海明啓)

ビビッドなイエローのタイルが陽気な雰囲気を醸し出すバスルーム。オレンジ色のシャワーは、洗面台と同じくイタリアのバスブランドagapeのもの(写真撮影/内海明啓)

家族が集まる3階の見どころは、広くてスタイリッシュなキッチン

3階はキッチンとダイニング、リビングです。
圧巻なのは、フロアの一辺をすべて使った横長のキッチン。大きなターキーも焼けるガスオーブンや、同じくアメリカ製GEの冷蔵庫など、こだわりのセレクトがスタイリッシュでありながら、無骨なテイストを生み出しています。
「この家に来てから料理が楽しくなって、ずいぶん台所に立つようになりましたね」とSさん。

フロアの端から端まで渡されたコンクリートの台は、下に自由にモノを収納できるよう、あえて脚をつけず壁に固定。収納よりもフリースペースを増やすことで、増えていくモノに柔軟に対応しています(写真撮影/内海明啓)

フロアの端から端まで渡されたコンクリートの台は、下に自由にモノを収納できるよう、あえて脚をつけず壁に固定。収納よりもフリースペースを増やすことで、増えていくモノに柔軟に対応しています(写真撮影/内海明啓)

家族5人が集うダイニングテーブルは、新品の木材をGALLUPで古材のように加工してもらったもの。脚に木材を使わず、ステンレスをセレクトするところがSさんのセンス(写真撮影/内海明啓)

家族5人が集うダイニングテーブルは、新品の木材をGALLUPで古材のように加工してもらったもの。脚に木材を使わず、ステンレスをセレクトするところがSさんのセンス(写真撮影/内海明啓)

リビングの片隅は、Sさんと息子さんの趣味スペースとなっていました。音楽は、ジャズフリークである息子さんの影響で始めたのだそう。壁に掛けた絵は、美大で油絵を専攻していたご自身の筆によるもの。「5」の文字をペイントしたのは、「形がカッコよくて好きだから」とSさんは笑います。

ダリの版画も自分の作品も、子どもたちの落書きも、同じように扱うSさん。常識に縛られずにモノを見極める目が、アーティスティックでありながらもキメすぎない、絶妙な空気をつくりだしているのでしょう。

Sさんが長年憧れていたという薪ストーブ。煙突ではなく、壁からダクトを通して排気しています。「寒い日は自然とみんながストーブのまわりに集まってきますね(笑)」(写真撮影/内海明啓)

Sさんが長年憧れていたという薪ストーブ。煙突ではなく、壁からダクトを通して排気しています。「寒い日は自然とみんながストーブのまわりに集まってきますね(笑)」(写真撮影/内海明啓)

Sさんいわく、この家に遊びに来る友人たちは、ひとつのテーブルにつくのではなく、それぞれ居心地の良い場所を見つけてくつろいでいるのだそう。回遊式で仕切りのないつくりが、訪れる人の気持ちを解き放ってくれるのかもしれません。

屋根の形に沿って天井の高さが違うのも面白さのひとつ。壁が丸、三角、四角に切り抜かれていたり、そこから向こう側が見えたり……と、シンプルなようで実は斬新な仕掛けがあちこちに光っています(写真撮影/内海明啓)

屋根の形に沿って天井の高さが違うのも面白さのひとつ。壁が丸、三角、四角に切り抜かれていたり、そこから向こう側が見えたり……と、シンプルなようで実は斬新な仕掛けがあちこちに光っています(写真撮影/内海明啓)

「シンプルな“ハコ”のような家をつくってほしい」とういオーダーから始まった家づくり。建築家の長洲さんは、自由に使えるシンプルかつ斬新な“ハコ”を提案し、デザイナーであるSさんは、そこに手を加えて自分らしい空間をつくり上げました。あえて収納や仕切りをつくらなかったり、フェンスやネットなど本来外で使うものを持ち込んだり、名画と子どもの落書きを同じように扱ったり……と、Sさん流インテリアからは学べることがたくさんありそうです。
ちなみに、Sさんと長洲さんは、家が完成したあとにバンドを組み、今では一緒にステージに立っているのだそう。そんなエピソードからも、2人の家づくりが充実したものであったことが伝わってきました。

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半数は掃除嫌い!掃除のしにくさに不満大! 今どきの住まいはどうなっている?

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半数は掃除嫌い!掃除のしやすさに不満大!今どきの住まいはどうなっている?

マーシュが自宅の掃除を主に行っている男性250人、女性500人に「住環境と掃除に関するアンケート調査」を実施したところ、掃除が面倒などの理由で掃除嫌いの人が多いことが分かった。とはいえ、掃除のしやすさを改善する方法はあるのだろうか。【今週の住活トピック】
「住環境と掃除に関するアンケート調査」結果を発表/マーシュ半数が掃除嫌い。面倒、時間がかかる、疲れるなどがその理由

調査結果によると、「掃除の好き嫌い」を聞いたところ、「掃除が好き」と回答した人が27.2%であるのに対して、「掃除が嫌い」と回答した人は50.0%に至った。また、「現状の掃除後の仕上がり」については、満足:24.3%・不満:39.9%であるのに対して、「現在の掃除のしやすさ」については、満足:19.7%・不満:45.6%となり、圧倒的に掃除のしやすさへの不満が強いことが分かった。

Q.各項目について、あてはまるものをお選びください。(単一回答)(出典/マーシュ「住環境と掃除に関するアンケート調査」)

Q.各項目について、あてはまるものをお選びください。(単一回答)(出典/マーシュ「住環境と掃除に関するアンケート調査」)

いったい「掃除嫌い」の理由はなんだろう?
掃除嫌いと回答したうち、半数以上の人が次の理由を挙げた。

・面倒だから(66.9%)
・疲れるから(61.3%)
・キレイにしてもすぐに汚れるから(61.3%)
・時間がかかるから(59.2%)

どうやら、掃除がしやすくないことが、「面倒」に感じ、「時間がかかる」ので「疲れ」てしまい、またすぐ「汚れる」ことが不満につながるという構図になっているようだ。

リビングとキッチンが、ゴミが溜まって掃除が大変な2大スポット

では、掃除に不満を感じる場所は、家の中のどこだろう?
調査結果によると、「ゴミがよく溜まる場所」も「最も掃除が大変な場所」も、「リビング」、「キッチン」、「家具と壁のすき間」の順に多かった。特に、リビングとキッチンは、半数以上がゴミがよく溜まると回答するなど、掃除のしやすさに不満を感じる2大スポットと考えてよいだろう。

Q.ゴミがよく溜まっていると感じる場所を全て選択してください。(複数回答)また、最も掃除が大変と感じている場所を選択してください。(単一回答)(出典/マーシュ「住環境と掃除に関するアンケート調査」)

Q.ゴミがよく溜まっていると感じる場所を全て選択してください。(複数回答)また、最も掃除が大変と感じている場所を選択してください。(単一回答)(出典/マーシュ「住環境と掃除に関するアンケート調査」)

掃除道具と住まいの仕様・設備が、「掃除のしやすさ」の不満を解消

そうはいっても、大半の人が週に1日以上は、床に掃除機をかけたり、キッチンのシンクやコンロまわりを掃除したりしていて、たまには換気扇の掃除もしている。不満を解消する方法はあるのだろうか?

床の掃除については、「壁際のゴミが掃除機で吸い込みにくい」、「家具や家電と壁とすき間に掃除機のヘッドが入らない」、「使用可能時間の長いコードレス掃除がない」などの不満が挙がっていることから、掃除機などの掃除道具の機能が向上すれば、不満が解消される点も多いと考えられる。

ちなみに、筆者は掃除機だけは比較的高額なものを買うようにしている。性能が高いので、ヘッドの動きがスムーズでゴミも絡みにくいなど、ストレスが少なくて済むからだ。「リビング」の不満は掃除道具の機能向上がカギになるのではないか。

一方、キッチンについては最新のシステムキッチンを選ぶということになるだろう。
新築マンションのモデルルームの事例で説明すると、レンジフード、キッチンパネル、コンロの掃除がしやすくなっている。

最新のシステムキッチンならここまで掃除がラクになる(写真提供/三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 相模大野」モデルルームのシステムキッチン)

最新のシステムキッチンならここまで掃除がラクになる(写真提供/三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 相模大野」モデルルームのシステムキッチン)

「フィルターレスレンジフード」とは、油がこびりついて掃除が面倒だったフィルターをなくし、整流板で油煙を吸引して、油煙を自動で空気と油に分離して、油をオイルトレーに回収するもの。フードや整流板を拭き掃除したり、オイルトレーの油を拭き取って洗ったりする必要があるが、掃除はかなりラクになる。ベタベタ汚れがなかなか落ちないという絶望感も解消されるだろう。

ガスコンロの主流になっている、天板が強化ガラスの「ガラストップコンロ」も汚れがつきにくく、掃除がしやすい住宅設備のひとつだ。一方、最近増えているのが、壁の汚れが水拭きで落とせるキッチンパネルだ。なかでも、ホーローパネルは掃除のしやすさに加え、マグネットが付くので使い勝手がよいと言われている。

ほかにも、汚れが付きにくいシンクなど掃除がラクになる商品が開発されているので、キッチンの掃除のしやすさは、最新機器でかなり改善されるようになったと言えるだろう。

かく言う筆者も掃除嫌いだ。その大きな理由は、普段から新聞やダイレクトメール、送ってもらった資料類などを散らかして、整理整頓を怠っているからだ。仕分けてからしまうべき場所に置くなどの作業に時間がかかり、掃除を始める前にすでに疲れてしまう。こればっかりは、掃除道具や住宅設備などでは、解消されそうにない。

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建物内保育園の入園を保証! 子育て施設が大充実の、賃貸マンションに行ってみた

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建物内保育園の入園を保証! 子育て施設が大充実の、賃貸マンションに行ってみた

つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅近くに、建物内保育園の入園保証(※)がついた賃貸マンションが誕生した。近年は職場と住まいが近い“職住近接”の重要性が認知されてきたが、共働き家庭の住まい選びにおいては、保育園などの育児施設が近い“育住近接”の視点も注目を集めつつある。マンション建物内保育園という、究極の育住近接を実現できる物件は、賃貸ではめずらしい。詳しく取材した。
※入園には条件があり、保育園の運営事業者・株式会社マザープラネットの入園審査により入園できない場合もあり。別途株式会社マザープラネットとの入園手続きが必要
保育園の距離が10分を超えると、送迎負担が深刻に

共働き家庭にとって、子どもがどの保育園に入れるかは死活問題。家から遠い保育園だと送迎の負担が大きいので、なるべくなら近場の保育園に入れたいのが本音というものだ。筆者が周囲の父母10人ほどに聞いてみたところ、特に保育園までの距離が10分を超える親は、送迎に大きな負担を感じているようだった。

子どもは大人のようには歩けないので、一緒に歩くとなれば徒歩10分の道のりが15分や20分以上になる覚悟が必要。特に雨の日は自転車も使えず、道路の危険も増すので神経がすり減るという声も。また保育園の広さや保育の内容は少し劣ると感じるものの、送迎時間短縮のために、家の近くの保育園に転園した家庭もあった。ただでさえ疲れる通勤に送迎の負担が重なると、仕事や家事を始める以前に疲れ切ってしまうことにもなりかねない。近隣保育園への転園は、現実的な選択だろう。

そんな背景もあって、近年敷地内に保育園を擁するマンションが注目されている。昨年2017年には保育園付き分譲マンションが1都3県で約20棟販売されるなど、供給数も増加している(リクルート住まい領域「2018年トレンド予想」より)。

賃貸マンションに入居すると、建物内保育園の入園保証がついてくる!

しかし保育園を併設している点に惹かれて分譲マンションを購入しても、必ずしも敷地内保育園に入園できるとは限らない。その保育園が国から補助金が出る“認可保育園”であれば、入園の可否の決定権は自治体にある。自治体の基準に照らし合わせた結果、同じ敷地内のマンションに暮らしながらも入園できないことがあるのだ。また認可園でない場合でも、同じ敷地のマンションに住む子どもの数が保育園のキャパシティーを超えた場合、入園できない可能性がある。

この点、2018年2月に新たに誕生した「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト」では、そのような懸念が払拭されている。というのも、このマンションでは、入居者の入園を保証する認可外保育園が建物内に併設されているからだ。また、このマンションは全戸賃貸住宅となっているため、子育て期間中のみここで暮らすといった、柔軟な住まい方が可能となっている。

柏の葉キャンパス駅から徒歩3分の491戸の大型マンションだ(写真撮影/蜂谷智子)

柏の葉キャンパス駅から徒歩3分の491戸の大型マンションだ(写真撮影/蜂谷智子)

ホテルのような雰囲気がただようエントランス(写真撮影/蜂谷智子)

ホテルのような雰囲気がただようエントランス(写真撮影/蜂谷智子)

保育施設・温泉・ジム等の充実した共用部

『パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト』を訪れてみると、保育園などの子育て施設のみならず、温泉やジムも併設するなど、その共用施設の充実ぶりに驚く。このマンションに入居したら、どんな暮らしが待っているのか? 三井不動産柏の葉まちづくり推進部事業グループ担当者に案内してもらった。

子育て施設「チコル」があるのが、マンションの3階。隣接するショッピングセンター「ららぽーと柏の葉」直結の出入り口と居住者専用ゾーンからの出入り口がある。「チコル」は保育園・学童・シェアキッチン・総菜屋・遊具を備えた屋内遊び場・屋内遊び場を見ながら仕事ができる保護者用のワークスペース等。保育園はマンション入居者専用だが、その他の施設は入居者以外も利用が可能だ。

入居者と入居者以外が混在するフロアがマンション内にあることに、不安を感じる人もいるかもしれないが、その点は心配無用だと担当者は言う。「マンションのセキュリティはカードキーの有無だけでなく、フラッパーゲートも採用しているため、居住者がマンションに入る際に第三者がすり抜けて入ってしまう心配もありません」。

保育園は駅前の「ららぽーと柏の葉」から直結している(写真撮影/蜂谷智子)

保育園は駅前の「ららぽーと柏の葉」から直結している(写真撮影/蜂谷智子)

保育園・学童・屋内遊び場――ワンフロアがまるごと、子育て施設に

大きな特徴である、入居者専用保育園は0歳児から入園でき、延長保育は22時まで。子どもが病気になったときは、同マンション1階にある365日対応の小児科医院や、保育園と同じ企業が運営する病児・病後児保育を利用できる。学童保育は保育園とひとつながりの部屋の一角にあり、小学校の1年生から6年生までをあずかる。

シェアキッチンと惣菜店は、昼夜の給食時には保育園や学童に通う子どもたちに食事を提供する場に。惣菜を予約すればテイクアウトが可能。夕食をつくる時間がないときには、ここで食事を購入すればよい。さらに大きな滑り台が特徴的な屋内遊び場は、中2階のワークスペースから見守りができて、子どもを遊ばせながら仕事をしたいという、働く親のニーズにも対応している。

保育園は横長のワンフロアで、保育者の目が届きやすい(写真撮影/蜂谷智子)

保育園は横長のワンフロアで、保育者の目が届きやすい(写真撮影/蜂谷智子)

1階には小児科と病児・病後児保育施設も(写真撮影/蜂谷智子)

1階には小児科と病児・病後児保育施設も(写真撮影/蜂谷智子)

柏の葉スマートシティにフィットする、課題解決型の住まいを目指す

なぜこういったマンションがつくられたのか? 担当者に話しを聞いた。

「柏の葉キャンパスは“環境共生・健康長寿・新産業創造”という3つのまちづくりテーマを設定し、現代社会の課題解決型の街づくりを進めるスマートシティです。三井不動産は民間企業として、2001年7月から街のプラットフォームづくりに携わってきました。柏の葉キャンパスには、すでにいくつもの分譲マンションを開発・運営していますが、今回『パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト』を子育て施設の充実した賃貸物件にした理由は、この街にふさわしい“課題解決型のマンション”を目指したからです」(担当者)

『パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー ウエスト』は、共働き家庭がぶつかる4つの課題を解決することを目指したそうだ。4つの課題とは“待機児童・37.5度の壁(子どもが熱を出すと保育園に預けられないこと)・小1小4の壁(小学生の放課後の預かり先がないこと)・女性の産後復帰”。

建物内保育園の入園保証、敷地内の病児・病後児保育、そして働きながら子どもを遊ばせられる屋内遊び場など、充実した子育て施設は、働く親の困りごとを解決するためのもの。マンションの側からここまで積極的な課題解決を提案している物件は稀ではなかろうか。

子どもの給食がつくられる惣菜店では、家庭用にテイクアウトもできる(写真撮影/蜂谷智子)

子どもの給食がつくられる惣菜店では、家庭用にテイクアウトもできる(写真撮影/蜂谷智子)

保育園の子どもたちは、シェアキッチンで並んで給食を食べる(写真撮影/蜂谷智子)

保育園の子どもたちは、シェアキッチンで並んで給食を食べる(写真撮影/蜂谷智子)

屋内遊び場は、大きな滑り台が特徴的、保護者は中二階から見守りながら仕事もできる(写真撮影/蜂谷智子)

屋内遊び場は、大きな滑り台が特徴的、保護者は中二階から見守りながら仕事もできる(写真撮影/蜂谷智子)

柏の葉キャンパスは、公・民・学が一体的に開発に取り組む将来性のある街

「柏の葉キャンパスを住まいに選んだお客さまが、度々おっしゃるのが『この街には将来性がある』ということ。すでに公・民・学が一体となったさまざまな試みが動いていますし。三井不動産は今後もこの街の開発に積極的に取り組む予定です。そういった地域を選ぶ方は、住まいにもより具体的なコンセプトを求めていらっしゃるのではないかと考えて、ターゲットに合ったソリューションを打ち出しています」(担当者)

柏の葉キャンパスは、東京大学や千葉大学がキャンパスを置く学園都市の一面を持つ。公・民・学によって構成される「柏の葉アーバンデザインセンター」を中心に子ども向けのイベントを開催するなど、先進的な試みが多くなされている。

教育意識の高い家庭にピッタリの土地柄が背景にあり、マンションのターゲットの志向性にも一致する。

地域の子ども向けイベントの様子(写真提供/三井不動産)

地域の子ども向けイベントの様子(写真提供/三井不動産)

地域の子ども向けイベントの様子(写真提供/三井不動産)

地域の子ども向けイベントの様子(写真提供/三井不動産)

先進的な周辺環境と充実した共用施設を賃貸で得るなら、そのお値段は?

柏の葉キャンパスは、教育施設だけでなくショッピングやレジャーの施設も充実。駅前に大型ショッピングモールの「ららぽーと」があり、また駅から徒歩7分の場所に蔦屋書店を中心とした「柏の葉 T-SITE 」がある。東京大学に隣接した広大な柏の葉公園をはじめ、自然も豊か。マンションの共用施設も子育て向けにとどまらず、大人向けのスタディルームやパーティールーム、ジムや天然温泉まで併設されているのだ。

帰り道に買い物を済ませ、マンションの敷地内の保育園で子どもをピックアップ、夜は大浴場の温泉に浸かる。休日は公園で遊んだり、子どもを地域のアクティビティに連れ出したり……。快適な暮らしをイメージできる恵まれた環境だ。柏の葉キャンパス駅は東京駅まで34分、銀座駅まで36分と、東京方面に通勤するのに便利な点も見逃せない。

このマンションのおおよその月々の賃料は、1Kが9万円代から、2LDKが17万円代から3LDKが21万円代からだという。

夫婦と小さな子どものいる家庭を想定した2LDK(写真撮影/蜂谷朋子)

夫婦と小さな子どものいる家庭を想定した2LDK(写真撮影/蜂谷朋子)

近年は待機児童の問題のみならず、病児保育施設の不足や、片親が育児を一身に担う“ワンオペ育児”の大変さなどが問題視されている。夫婦共働きが一般化したことで育児の課題があらわになり、解決方法を社会全体で模索している時代だといえるだろう。そんななか、育児の課題解決のためのソリューションを備えた賃貸マンションができたというのは新しい選択肢として心強い。

賃貸ならではの強みという点では、豪華な共用施設の将来的な維持管理費を考えなくて済むということがあげられる。「購入した住まいに生涯住み、不都合があっても我慢する」のではなく、「自分が今抱えている課題を解決する物件を住み替えていく」というライフスタイルは、先々の見通しが立ちにくい現代にフィットしているのかもしれない。

●取材協力
・三井不動産株式会社元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/07/157842_main.jpg

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危険なブロック塀、自治体によっては撤去・改修に助成も。大阪でも7月から制度が開始

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危険なブロック塀、自治体によっては撤去・改修に助成も。大阪でも7月から制度が開始

6月18日に発生した大阪府北部を震源とする直下型地震によって、幼い命と引き換えに再びクローズアップされたのが、「ブロック塀」の危険性だ。戦後の建築ラッシュ時に、コストの安い遮へい壁や、防犯も兼ねた民家の外構壁として、ブロック塀は盛んに用いられた。もちろん現在の建築基準法で、ブロック塀の耐震性は確保されてはいるが、劣化や老朽化、違法な構造等により、その危険性が放置されているものも多い。自宅は? 子どもたちの通学路は? 私たちは、危険性をどう判断したらいいのか。その対策は? 行政の取り組みをまとめてみた。
危険なブロック塀は、これだ! 国土交通省が、公開したチェックポイントとは

6月18日朝方、筆者はこの時間もう職場のデスクに着いていた。時計の針が8時を指そうかとしたその瞬間。ドドーンと一発目の縦揺れがきた。続いて2発、3発と次第に大きくなってくる。阪神大震災も経験済みの筆者には時間はそんなに長く感じなかったが、その揺れは明らかにかつての大地震より強く感じた。

今回クローズアップされたブロック塀だが、1981年の施行令改正で規定された現在の建築基準法では、震度6強から7の地震でも倒壊しない強度を、ブロック塀に求めている。1978年6月の宮城県沖地震による犠牲者28人のうち18人がブロック塀や門柱の倒壊で死亡し、これが改正のきっかけとなった。

が、今回の地震で露呈したように、地震による倒壊等の危険が残るブロック塀が放置されているのも現実。
そこで、国土交通省が改めて、既設のブロック塀の危険度判定のポイントを示し、安全点検の必要性を広く告知している。以下のイラストがそれだ。

国土交通省が発表した「ブロック塀の点検とチェックポイント」(国土交通省HPより転載)

国土交通省が発表した「ブロック塀の点検とチェックポイント」(国土交通省HPより転載)

上記イラストによると、チェックポイントは次の6つ。1つでも不適合があれば危険だ。

1.塀は高すぎないか…塀の高さは地盤から2.2m以下か
2.塀の厚さは十分か…塀の厚さは10cm以上か(塀の高さが2m超~2.2m以下の場合は15cm以上)
3.控え塀はあるか(塀の高さが1.2m超の場合)…塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか
4.基礎があるか…コンクリートの基礎があるか
5.塀は健全か…傾きやひび割れはないか
6.塀に鉄筋は入っているか

チェックポイント1、2、3、5は私たちでも判断できる。
まず、メジャーをもって高さや幅などの寸法を計ってみる。そして、ひびや割れ、傾きなどをみて、手で押してぐらつきなども確かめてみるといいだろう。

が、チェックポイント4や6の内部の鉄筋の様子や、基礎の有無等、私たちが見ただけでは、判断がつかない部分もある。ちょっとでも心配であれば専門家に相談しよう。身近に業者が見つけられない場合は、市役所等に問い合わせてみるといい。建築関連の部署であれば、まず、業界団体の紹介をしてもらえるはずだ。そこから、具体的に専門業者に当たってみるといいだろう。

自宅のブロック塀を撤去、改修で自治体からの助成制度も

自宅のブロック塀で、不具合が見つかった場合。この危険性を取り除くためには、改修あるいは撤去によって、フェンスや生け垣といった別の物に取り換えるといったことが考えられる。各自治体では、この費用に対する補助金制度を設けて、危険なブロック塀の撤去を進めている。具体的に各自治体の補助制度をいくつか紹介する。

早くから大地震に対する都市防災対策を行っている東京都の文京区と新宿区の制度を紹介する。

文京区では、危険なブロック塀の撤去費用と新しい設置費用の両方を助成する。既存の塀の高さによって、額が違うが1m当たり撤去で5000円から1万円、設置費用として1m当たり1万円から2万5000円を助成する。例えば、塀の高さ2m×長さ10mであれば、撤去費用として10万円、新しく設置する費用として25万円の助成が受けられる。実際にかかる費用のかなりの部分が賄えるといえる。

文京区の助成金例(文京区HPを参考にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

文京区の助成金例(文京区HPを参考にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

新宿区の場合はどうだろう。こちらはブロック塀の除去のみの助成だ。長さ1m当たり1万円となり上限額20万円となっている。ただし、ブロック塀を生垣や植樹帯にする場合は「接道部緑化助成制度」という制度があり、最大30万円までの助成がある。

そのほか、東京都の各区での取り組みは、東京都耐震ポータルサイトがブロック塀の改善に活用できる助成制度一覧をまとめているので自分の住む地域に助成制度があるか確認してみよう。

このなかで、特に留意しておきたいのが、どの区の助成制度を見ても、あくまで家の前の道路や、公園といった公共のスペースに面したブロック塀だけがその対象になるということ。つまり左右の隣地(民有地)や家の裏との間のブロック塀は対象外だということ。

文京区の助成の事例(文京区HPより画面キャプチャ)

文京区の助成の事例(文京区HPより画面キャプチャ)

大阪でも今回の地震を機に助成制度がスタート

次に、今回の地震の震源地となった大阪府の各市の場合はどうだろう。実は、関西ではかつて大きな地震の危険が見込まれていなかった事情もあり、市街地の危険なブロック塀の対策が遅れていた。そして、今回の災害を契機に、一気にその流れができ、ようやく高槻市や大阪市、堺市などでも7月に助成制度がスタートした。

高槻市の例を見てみよう。ここでは、ブロック塀の撤去費用のみの助成になる。補助額は実際にかかった撤去費用の最大20万円まで、指定された通学路に面する塀は30万円まで、とある。特に通学路の安全性に留意した制度だ。

大阪市の場合、補助限度額は、撤去に際しては15万円、軽量フェンス等の新設工事費用として25万円だが、2018年度、2019年度に限り、補助限度額が5万円引き上げられている。所有者に対してより迅速な対応を促す制度となっている。

通学路や自宅以外の危険なブロック塀は、どうすればいい?

ブロック塀の撤去費用の助成制度は、自宅のブロック塀をその所有者が点検し、危険性を取り除くためのものだ。では、自宅以外のブロック塀はどうすればいいのか。国交省の「通学路を含めた点検を」との呼び掛けに、各自治体は、教育委員会も含めて点検に回っている。そして、応急的な対応として、学校施設のブロック塀などには注意を促す張り紙を張って告知している。

学校施設のブロック塀に張られた注意を促す告知(写真撮影/コハマジュンイチ)

学校施設のブロック塀に張られた注意を促す告知(写真撮影/コハマジュンイチ)

豊中市や吹田市では、基準に照らし危険性があると思われるロック塀のある民家には、点検と安全対策を求めるチラシを投函している。つまり個人の所有する家のブロック塀は、「お願い」で終わっているのが現状だ。

小学校を含めた公共施設のブロック塀は、行政の取組みが進むが、個人の所有物である民家のブロック塀からその危険性を除去するために、行政ができることは残念ながら限られているという訳だ。

今回の地震では小学校に設置されたプール横のブロック塀の下敷きになった女児の命が失われた。小学校のプールの横に塀がある理由は、文部科学省の「小学校施設整備指針」に「屋外プールは・・・周囲に、遮へい板、囲障壁等の施設を設けることが重要である」との記述があることに起因する。つまり、小学校のプールは外から見えないよう遮へいし、壁で囲むことが求められているのだ。

コストの面から、多く導入されたであろうブロック塀だが、今は遮へいの機能もあり、軽いアルミなどの材料で代替も可能だと思う。大きな地震の発生が予見されている今の時代に合った、より安全な塀の導入が急務だ。

もうひとつ。個人の財産である塀の危険を取り除くのは「所有者の自覚」しかない。撤去・改修には大きな費用がかかるのも事実だが、所有する壁が老朽化し不具合が認められるままで、通行人等にケガをさせてしまった場合、所有者に重い責任が問われる場合があるということを認識してほしい。

関西でもようやくスタートした、ブロック塀の撤去改修の助成制度。まずこの制度の充実を望みたい。

●各自治体の助成制度
▼大阪府
・高槻市 ブロック塀等の撤去を促進する補助制度について
・大阪市 大阪市ブロック塀等撤去促進事業
・堺市 指定通学路の危険なブロック塀の撤去等に補助します!

▼東京都
・文京区 ブロック塀等改修工事費助成
・新宿区 ブロック塀等の除去に対する助成
・東京都耐震ポータルサイト ブロック塀の改善に活用できる助成制度一覧元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/157994_main.jpg

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わが家に合った予算・ローン[2] 共働き夫婦、住宅ローンは夫のみ? 夫婦でペアローン?

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わが家に合った予算・ローン[2] 共働き夫婦、住宅ローンは夫のみ? 夫婦でペアローン?

女性の社会参画が進み、共働き世帯が6割を超える昨今。住宅ローンを組むときにも、夫だけではなく妻も融資を受け、住宅ローンの金額を増やしたい、と考える方もいるでしょう。
そこで今回は、夫婦でペアローンを組むことにどのようなメリットがあり、どのようなリスクがあるのかを「ホームローンドクター」の淡河範明(おごう・のりあき)先生に教えていただきます。

ご相談者はSさん夫婦。33歳の夫と31歳の妻の2人暮らしです。
埼玉県のさいたま市内にマンションを購入したいと検討しており、住宅ローンの融資を夫のみで受けるのか、それとも妻も融資を受けるのかで迷っています。夫婦ともに収入がある場合は、夫婦ペアローンを利用したほうがいいのでしょうか?【連載】教えて、ローンドクター! わが家に合った予算と、借り方・返し方
住宅購入に悩みはつきませんが、「予算」は最も大切なポイント。年収の何倍までとか、頭金はこれくらい必要などいろいろな情報があふれていますが、人によって、物件によって、タイミングによって変わるため、実際にはみんなに通用するセオリーはありません。いったい「わたし」「わが家」にとってはいくらの物件を買えばいいのか? ローンはどう組めばいいのか? そんな疑問に「ホームローンドクター」である淡河範明(おごう・のりあき)先生がビシッとお答えいたします。(イラスト/松元まり子)

(イラスト/松元まり子)

夫婦のペアローンは融資額を増やし、節税効果も発揮してくれる!

淡河範明先生(以下、先生):今日は住宅ローンの融資を受けるに当たり、ペアローンを利用するべきかどうかというご質問ですね。

夫:はい、私の年収が530万円なのですが、今購入を検討しているマンションを買おうと思ったら、4000万円必要で。なんとか融資は受けられそうなのですが、私の年収から考えるとかなりギリギリの金額かなと……。

妻:私も派遣で一定の収入があるので、住宅ローンの一部を負担できないかと思っています。

夫:もう一つ、できれば早めに完済して、老後は住宅ローンの心配をせずにのんびり暮らしたいんです。20年くらいで住宅ローンを組みたいんですが、私と妻の年収でも完済できますか?

先生:お一人だと借りられる金融機関が限定されますが、夫婦でペアローンを組めば、借りられる金融機関を増やすことができるだけでなく、コスト面でもメリットが出せます。ペアローンのメリットは、互いが住宅ローン控除を利用できることですから、単独でローンを組むよりも手元に残るお金は多くなるでしょう。
一方、20年で完済するという考えは危険かもしれません。

夫:なぜですか? 金利という無駄な出費が減ると思うのですが。

先生:4000万円を20年で完済しようとすると、金利1.5%で融資を受けても毎月20万円弱を返済しなくてはいけません。手取りの月収は夫婦合わせてどれくらいでしょうか?

妻:えーっと……ボーナスを別に考えると夫婦で45万円ぐらいですね。

先生:つまり45万円の収入のうち、20万円も住宅費に充てなくてはいけない。これでは手元にお金が残らないギリギリの生活になってしまいますし、もし将来お子さんを欲しいと考えているのであれば、教育費などの貯金もままならないでしょう。
また、マンションは管理費や修繕費もあります。
今は低金利ですから、できるだけ多くのお金を借りて手元に残せるお金を増やすほうが得策です。

夫:そうなのでしょうか……? 住宅ローンが退職後にも残ると不安になってしまいます。

先生:夫のKさんは65歳の定年退職まで32年もあります。それに妻のYさんがお子さんを出産し、産休等で働けなくなると、Yさんのローンは育児休業給付金と貯金から返済することになりますから、毎月の返済分は抑えて余裕分は貯蓄に回しておくべきです。

妻:たしかに! 子どもも欲しいですし。

(イラスト/松元まり子)

(イラスト/松元まり子)

先生:そこで20年間の固定当初金利優遇ローンを利用しましょう。三井住友信託銀行でしたら当初20年間の金利が1.15%、21年目以降は変動金利となり全期間1.075%になった前提です(2018年7月31日時点)。住宅ローンの融資を単独で受けた場合と、ペアローンで融資を受けたときの夫婦の負担比率を変えて数パターン、シミュレーションをしました。

ホームローンドクター淡河先生が作成したSさん夫婦の住宅ローン返済シミュレーション。4パターンの夫婦の住宅ローン負担比率に対し、実質負担額がどう変化するかを試算

ホームローンドクター淡河先生が作成したSさん夫婦の住宅ローン返済シミュレーション。4パターンの夫婦の住宅ローン負担比率に対し、実質負担額がどう変化するかを試算

Sさん夫婦:わぁ! 総支払額が数十万単位で変わってくるんですね!

先生:そうなんです。単独で融資を受けるより、ペアローンを利用すれば、諸費用は多少かかりますが、それを補って余りある住宅ローン控除が受けられます。

(イラスト/松元まり子)

(イラスト/松元まり子)

ペアローンを組むときは、持分設定と離婚リスクに要注意!

先生:ただ、ペアローンで注意点がないわけではありません。上の表でも「住宅ローン負担比率」という数字がありますが、夫婦それぞれが住宅の購入に支払う金額(住宅ローン負担比率)と、登記上の持分設定を実状に沿ったものにしておかないと、贈与税が発生する可能性があります。

妻:住宅ローンの負担比率にかかわらず、夫婦で一緒に購入するから所有権は半々にする、という形ではダメですか?

先生:離婚時の財産分与は別ですが、所有権は費用を負担している割合と同等にしてください。例えば4000万円の住宅購入に際し、妻が800万円の支払いだと夫と妻の負担は3200万と800万で4:1です。
ところが、登記時に所有権の持分設定を1:1にしてしまうと、2000万円ずつを負担して住宅を買ったことになります。この差額の1200万円を夫から妻に贈与した、と見なされるリスクがあるのです。

(イラスト/松元まり子)

(イラスト/松元まり子)

夫:それは問題ですね。

先生:まずは、支払っている税額と借入金額の関係を確認しましょう。もし、借入金額の1%以上の税金を払っているなら、所有権の持ち分比率をできる限り費用負担と同等の設定にすることで、控除の額が少なくなるのを避けられます。ただし、持ち分以上のローンがあっても、超過分の借入金については住宅ローン減税は受けられないので注意が必要です。

また、ペアローンの最も大きなリスクは「離婚」だということも覚えておきましょう。住宅を購入するときは夫婦ともに仲が良く、離婚など考えていない方が多いです。だからこそ、万一離婚したときにその後の所有や住宅ローンの返済をどうするか、先に決めておいてほしいのです。

Sさん夫婦:分かりました。あとで2人で話し合ってみます。

「退職時にいくらの資産を用意できるか」を考えて人生設計をしよう

先生:あとは無理のない返済で、手元にフリーキャッシュフローを残すことを意識してください。末永く、毎日の生活を楽しみながら暮らしていくには「何歳までに」「純資産(※)をどの程度つくれるか」を決めて行動することが重要です。

定年退職時の年齢が65歳、平均寿命の85歳くらいまで生きるとして、その間の20年間「年金と手持ちの資産で不自由のない生活を送れること」を目標としましょう。65歳時点で貯蓄がいくらあったら、安心して老後を送れると思いますか?

※純資産:会計用語で「会社の資産総額から負債総額を差し引いた金額」のこと。ここではそれを家計に当てはめ、保有している金融資産からローンなどの借金等を引いた自分の資産を指す

妻:えっと……1000万円とか2000万円とかでしょうか?

先生:ズバリ、私が65歳時点の参考貯蓄額として提唱するのは、以下の3つのプランです。

●1500万円:シンプル生活 →必要最小限の貯蓄で最低限必要な出費をまかなえるプラン
●3000万円:ピンピンコロリ →老後の生活を楽しみながら健康に過ごし、医療費があまりかからなかった場合のプラン
●6000万円:ゆうゆう生活 →海外旅行や趣味を楽しみながら、余裕のある老後を過ごすための金額

退職時にローンを完済していても、手持ちに現金がないのでは意味がありません。デフレの今は、繰上返済にこだわるより貯金を確保しておくほうが、ずっと生活が豊かになるのです。また、ゆっくりローンを返して、手元にある程度の現金を残しておくことは、急な出費が必要になったときのリスク対策にもなります。

(イラスト/松元まり子)

(イラスト/松元まり子)

妻:私たちは30代だから、1年間で100万貯金できれば、ピンピンコロリプランには到達できそう、ってことですね。

先生:長い人生において、さまざまな経済的リスクを回避する一番の対策はまず「収入を増やすこと」、次に「手元にある程度の現金をしっかり残しておくこと」です。今回のプランでは現状の収入でも無理のない範囲で計画を立てていますが、収入を増やすための努力もぜひ忘れないようにしてください。

夫婦:はい!

夫婦ペアローンは融資額を増やすことにも役立ちますし、住宅ローン控除の効果でキャッシュフローが増えるというメリットがあります。生活の豊さを考えれば、無理に早く返済するだけではなく、手元にお金を残せるように返済していくことも大切だということが分かりました。

ただし、夫婦持分の数字にはよく注意しておかないと贈与税が発生しかねませんし、離婚というリスクが伴うことも。まずは夫婦でしっかり話し合い、何歳までにいくら貯めておきたいのか、どのように返済していくのかを決めておきたいものですね。

s-淡河 範明淡河 範明 ホームローンドクター
日本興業銀行、エル・ピー・エル日本証券を経て、住宅ローン専業コンサルティング会社であるホームローンドクター株式会社を設立。利用者の立場にたち、住宅購入時の資金計画、住宅ローンの選び方を新しい方法で提案している。著書に『住宅ローンを賢く借りて無理なく返す32の方法』『住宅ローン借り換えマジック』などがある。元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/157906_main.jpg

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「中古マンション購入+リフォーム」で将来貸しやすく、快適に暮らせる部屋に【理想をかなえたマイホーム実例#03】

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「中古マンション購入+リフォーム」で将来貸しやすく、快適に暮らせる部屋に【理想をかなえたマイホーム実例#03】

マイホーム購入を通じて、理想をかなえた方々のお宅に伺い、レポートする連載企画。
今回は「忙しい毎日のなかでも子どもとの時間を大切にしたかった」「将来的に売ったり貸したりできる資産性も重視した」というMさんの住宅購入ストーリーを伺いました! 多忙な毎日を過ごされているMさんはどうやって理想の暮らしを実現されたのでしょうか!?【連載】理想をかなえた!マイホーム実例
「いつかは家を買って、○○したい」――そう考えて、住宅購入に夢を膨らませている方も多いのではないでしょうか。実際に「こんな暮らしがしたかった」という理想の暮らしを実現したご家庭にお邪魔し、マイホームを購入するまで、してからのお話をあれこれ伺います。夫の転勤で札幌へ……! いつかは東京に戻る前提で資産性を重視

テレビ電話ごしの取材となった、札幌在住のMさん。取材のために事前に何度もメッセンジャーでやり取りをしながらも、本当に日々お忙しそうなご様子が伝わってきます。もともとは東京に住んでいたというMさんファミリーは、夫と小学3年生の男の子との3人暮らし。まずは札幌に移住することになった経緯から伺います。

――はじめまして! 本日は画面ごしですが、よろしくお願いします!
Mさんはもともと東京にお住まいだったと聞きましたが……?

「はい。私も夫も営業系の仕事なのですが、5年ほど前に夫が札幌に転勤することになり、家族全員で移住しました。子どもはまだそのころ幼稚園でしたし、私も夫も夜遅くまで仕事をしているので、単身赴任で物理的な距離が離れると、家族で過ごす時間が確保しづらくなってしまうと思ったんです。そのため、私は前の仕事を辞め、札幌で同じ業種の会社に転職をしました」(Mさん、以下同)

Mさんが住むのは有名な時計台やテレビ塔もある札幌市中央区。写真左は札幌駅、右は札幌の街並み(写真/PIXTA)

Mさんが住むのは有名な時計台やテレビ塔もある札幌市中央区。写真左は札幌駅、右は札幌の街並み(写真/PIXTA)

――そうすると、今後は札幌にお住まいになる予定なのでしょうか?

「いえ、転勤の多い職種なので、また東京に戻るか、他の地域に異動になる可能性も高くて……。実際に夫も札幌に転勤後、さらに帯広に転勤になり、結局、いまは単身赴任という形になりました。札幌に来てから2年間は夫の会社の住宅補助を受けて近くの賃貸マンションに住んでいたんですが、このエリアは賃貸相場もそれなりに高く、補助から足が出る状況で。夫といい物件があれば買った方がいいかも、という話を常々していたんです。ただ、もし買うなら、今後また転居することになったときにも売ったり貸したりできるよう、資産性の高い物件を選ぼうと」

――資産性の高い物件というと、具体的には?

「いま住んでいる地域は文教エリアで人気が高く、新築マンションがどんどん建っています。私たちのような転勤族も多いので、駅からの利便性が高く、大手デベロッパーの建てた物件であれば、多少築年数があっても買いたい人はたくさんいるだろうと感じていました。新築よりも中古マンションの方が割安に手に入りますし、きちんと管理され、ブランド力のあるマンションは、リフォームをすれば快適に住めて売りやすいはずだと。それで私たちが買おうかなと探していたときに、ちょうど駅から徒歩2分のこの物件が出ているのを知ったんです。近所の人であれば、マンション名と外観を見れば『ああ、ここか』とすぐ分かるような物件ですよ」

住まいとしての快適性と、資産価値UPを目的にリフォーム

――立地以外に「資産性」という面で重視されたポイントはありますか?

「この物件はもともと3LDKで、リビングの横に和室があったのですが、内覧したときにリビングとつなげれば広くできるな、と思いました。もともと所有されていた方も結構きれいにお住まいになっていたんですが、築20年くらいだったので、自分たちが快適に住むためにも、また今後、売却する可能性を考えてもリフォームが必要だなと」

【リフォーム前の間取図】もともとはリビングの横に和室がある形の3LDKの間取だった(Mさんに提供いただいた間取図を元にSUUMOジャーナル編集部にて作成) 【リフォーム後の間取図】リビング横の和室をつなげる形にして広いリビング・ダイニングの2LDKに変更(Mさんに提供いただいた間取図を元にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

【リフォーム前の間取図】もともとはリビングの横に和室がある形の3LDKの間取だった(Mさんに提供いただいた間取図を元にSUUMOジャーナル編集部にて作成)
【リフォーム後の間取図】リビング横の和室をつなげる形にして広いリビング・ダイニングの2LDKに変更(Mさんに提供いただいた間取図を元にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

――リフォームされたんですね! 他にも変更されたところはあるんでしょうか?

「間取りの変更という意味では、押入れだったところをウォークインクローゼットにしたり、お風呂が狭かったのを広くしたり……というくらいですが、設備や仕様はほぼ全て手を入れました。床とクロスを張り替え、キッチンやバスなどの設備も新しいものにしました。札幌市は窓を二重サッシに変えると補助金がでる制度(※)があるので、窓も全て取り替えたんですよ(笑)」

※札幌市住宅エコリフォーム補助制度:許可を受けた事業者が施工する省エネ改修やバリアフリー改修を行った場合に、改修費用の一部を補助する制度

札幌の冬は寒いが、補助金が出ることが分かり、二重サッシも全て新しいものに取り替えた(写真提供/Mさん)

札幌の冬は寒いが、補助金が出ることが分かり、二重サッシも全て新しいものに取り替えた(写真提供/Mさん)

和室についていた押入れは、隣りにあった物入れと一体化してウォークインクローゼットに(写真提供/Mさん)

和室についていた押入れは、隣りにあった物入れと一体化してウォークインクローゼットに(写真提供/Mさん)

――それだけ全体的にリフォームをしようと思うと、リフォーム会社選びも慎重になったのではないですか?

「それが実は、リフォーム会社はこのマンションを建てた大手不動産グループの会社にそのままお願いしました。検討に時間をかけたのはどこにお願いするかではなく、仕様をどのレベルに維持するか、です。いずれは引越すことが前提で一生住む家ではないので、コストは抑えたいんです。でも、あまりグレードの低い仕様・設備だと自分たちが住むのに日々、ストレスになりますし、いざ売ろうとしたときにも低く評価されては困ります。『中の上』くらいの仕様を意識して、すべてのものを選ぶようにしました。『本当はこっちがいいけど、ここまでお金かける必要ないな……」とそれなりの質は確保しつつ、コストも重視するという。見積もりを出してもらって、やりすぎかなと感じる部分は削って、を繰り返しました」

バスやキッチンなどの設備も新しいものに交換。「中の上」のグレードを意識しながら、使い勝手がよく、万人受けするシンプルな仕様に(写真提供/Mさん)

バスやキッチンなどの設備も新しいものに交換。「中の上」のグレードを意識しながら、使い勝手がよく、万人受けするシンプルな仕様に(写真提供/Mさん)

床やクロス、建具なども変更。空間を広く見せるために白を基調としたものをセレクト(写真提供/Mさん)

床やクロス、建具なども変更。空間を広く見せるために白を基調としたものをセレクト(写真提供/Mさん)

忙しく働くママが小学生の息子と時間・空間を共有するための工夫

――毎日本当にお忙しそうなので、リフォームの検討も大変でしたよね。普段はどのような形でお仕事されているんでしょうか?

「平日は朝7時半過ぎに家を出て、帰ってくるのはほとんど21時から22時くらいになります。早ければ週に1回程度、19時半くらいに帰れるときがあるかどうか……。なので、息子の生活は普段、ベビーシッターさんにお願いしています」

――わあ……本当にご多忙ですね。そうすると、帰宅されたときにはお子さんはもう寝ている感じですか?

「寝ちゃってますね……(涙)。その分、早く帰れたときや休日など、家にいられる時間は少しでも一緒に過ごしたいと考えまして。リフォームによって広くなったリビングの真ん中には、子どものデスクを置いています。子ども部屋もありますが、基本リビング学習です(笑)。早く帰れたときに、息子が宿題をしている姿が食卓からも見えます。お互いが何をしているかがパッと視界に入るんです」

リビングの中央には子どもの学習デスクが。Mさんがダイニングやキッチンにいるときも、一緒の時間・空間を共有できる(写真提供/Mさん)

リビングの中央には子どもの学習デスクが。Mさんがダイニングやキッチンにいるときも、一緒の時間・空間を共有できる(写真提供/Mさん)

――たしかに、息子さんのデスクが主役のリビングですね!

「でも息子は実際にはデスクだけじゃなくて、キッチンのカウンターで勉強することも多いんです。カフェっぽいカウンターにしたところは私のこだわりなんですが、ここで一緒にご飯を食べたり、私が料理しているときに息子が勉強したりしています。あと、夜の時間は私が一杯飲むためのバーカウンターに(笑)」

子どもが寝た後は、カウンターでゆっくりお酒をたしなみながら一息をつく時間も確保(写真提供/Mさん)

子どもが寝た後は、カウンターでゆっくりお酒をたしなみながら一息をつく時間も確保(写真提供/Mさん)

豊かな暮らしを実現するために、購入予算とローンの組み方も考慮

――素敵ですね。資産性も重視されたということなので、きっと購入予算についてもいろいろ考えられたんでしょう?

「購入予算については、それまでの家賃の負担額と同じくらいになるように予算を決めたうえで物件を検討しました。もともと賃貸で住んでいたときに15万円くらいの家賃を負担していたので、共益費や修繕積立金を入れて月々の支払額が同じくらいになるように計算して」

――人気があるエリアとのこと、地方都市の中古マンションとはいえ、高かったのではないですか?

「マンションを約2000万円で買って、リフォームに500万円ほどかけた形です。現金で買えない額ではなかったのですが、銀行や不動産会社の方が『現金で買えるとしても、ある程度は手元資金として置いておいた方がいい』とアドバイスをしてくれてローンを組みました。今は金利も低いですしね」

――引越し前提、売却も視野に入れているとのことなので、また次の新しい住まいを購入される可能性もありそうですもんね

「はい、今後のことも考えて、ローンは20年で組んでいます。無理のない範囲で、時々の状況にあわせた住まい選びができればと!」

そう魅力的にほほ笑むMさんの表情からは、バリバリとお仕事をしながら子どもとの時間も大切にして、充実した生活を送っていることが垣間見えます。一方、人気の高いエリアでブランド力のある中古マンションを買ってリフォームをすること、低金利の今、あえて手元資金を残しながら住宅ローンを組む選択をされたことも、今後の将来を見据えた賢明なプランですよね。
Mさんファミリーの選択からは、理想の暮らしを実現しながら、先を見据えた堅実な資金計画も両立する、そんな賢い住まい選びを学びました。

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家賃は安い? 心霊現象はある? 事故物件住みます芸人にほんとのところを聞いてみた

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家賃は安い? 心霊現象はある? 事故物件住みます芸人にほんとのところを聞いてみた

テレビ番組の企画をきっかけに、2012年から6軒もの事故物件に住み続けている「事故物件住みます芸人」の松原タニシさん。「家賃は安いの?」といった疑問から、「室内はキレイ?」「心霊現象は起こるの? 怖くない?」といった、住んでみないと分からないアレコレ、今後も事故物件に住みたいかまで、聞いてきました。
大阪、千葉、東京の事故物件で暮らすが、家賃は思ったほど安くない

自殺や他殺、病死や孤立死など、なんらかの理由で人が亡くなった物件を指すことが多い「事故物件」。こうした事故物件は、「なんとなく怖そう」「家賃が安そう」といったイメージが先行しがちです。SUUMOジャーナルが2018年に実施した事故物件に関する調査でもそのイメージを聞いてみると、「家賃が安い」と「怖い・不気味」が7割を超え、「心理現象がありそう」(43.3%)がトップ3という結果でした。

「家賃が安い」「怖い・不気味」とイメージする人が圧倒的に多かった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「家賃が安い」「怖い・不気味」とイメージする人が圧倒的に多かった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

実際にはどうなのでしょうか。まずは、家賃の安さから聞いてみました。

「まず、家賃の安さですが、イメージほど安くないです。例えば月15万円が7万円の半額になることはほとんどない。たいていは月1~2万円、安くなっている程度です。築年数が経過している古い物件だと、もともとが安くて5万円が3万円になっていることがありますね。ただ、初期費用は安くなっていることが多いです。敷金・礼金、ともにゼロだとか」といいます。そのため、お金がなく、生活にかける費用を抑えたいという人、人と違う経験をしてみたい人にはオススメだといいます。

「夢があるとか、仕事に打ち込みたい人は、家に帰って寝るだけの生活になりますよね。だから、家に気をつかう余裕がないし、部屋を癒やしの空間にしたいと思わなければ(笑)、事故物件はいい選択肢だと思います」と語るタニシさん。

では、多くの人が気になるであろう「心霊現象」については、どうでしょうか。松原タニシさんが本やトークライブなどでは、体験した心霊現象などを披露していますが、すべて実話なのでしょうか。

「本に書いてあることやライブで話していることは、実際にあったできごとです。でも、心霊現象というか、明らかに奇妙な映像が撮れたり、いろいろと変な体験をしたのは1軒目くらい。それ以降の部屋でそんなに毎日変なことは起きないですね。ただ、ロケで僕の部屋に訪れた霊感のある人が入りたくないと騒ぎになったり、僕自身が体に不調をきたすことはありました」とあっけらかんな様子。

また、ラップ音などの心霊現象についても、実際に暮らしていると慣れていくのだそう。

「はじめの一週間は、『あ、暮らしはじめて今日で一週間経過したな』って思って、やっぱり意識しているんですけど、二週間目から数えるのをやめて、1カ月くらい経過すると、『あ、音、鳴っているな、もうええわ!』ってなる(笑)」。ちなみに、たくさんの心霊現象は経験したものの、まだ「見た」ことはないのだとか。「だからこそ、一度、幽霊を見たいんですよ~」と熱く(?)語ってくれました……。いえ、聞いているだけでおなかいっぱいです。

自殺、孤立死、殺人……。事故物件の内容により気をつけるポイントは?

ただ、ひと口に事故物件といっても、自殺や他殺、孤立死、病死など、さまざまな種類があります。SUUMOジャーナルの調査で事故物件の内容による検討度合いを聞いたところ、内容によって検討度は大きく変わります。該当の部屋であっても自然死や病死であれば住むことを検討すると答えた人が約半数。さすがに該当の部屋で自殺や他殺があった場合には3割に届きませんでしたが、少数ながら検討する人はいて、需要はあるようです。

隣や上下階、同じ建物内など、該当の部屋でなければ「検討する」という人がそれぞれ約4割いた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

隣や上下階、同じ建物内など、該当の部屋でなければ「検討する」という人がそれぞれ約4割いた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

では、事故物件の内容によって住むうえでの注意点などはあるのでしょうか。

「自殺に関しては、全然、珍しくもないですし、慣れます。また、自殺の部屋の場合、死後すぐに発見されることが多いので、部屋の状態もよい場合が多いです。ただ、孤立死の場合は死後の発見が遅くなることも多いですし、もともとゴミがあふれていたりすると、虫が湧いていたり、ニオイなどもします。脱臭などで対策しても限界がある場合もあります……」と経験をあかしてくれました。

一方で、「他殺」が発生した事故物件は注意したほうがいいといいます。

「自分も経験しましたが、部屋に戻ってくることがあるんですよね、罪を犯した人が。刑罰にもよりますが、数年で出てくる場合もありますし、その人が知っている部屋になるので、やっぱり遭遇したときの怖さがあると思います」といい、心霊現象そのものよりも、生きている人間のほうが「怖い」というリアルを教えてくれました。

お仕事でなくても、事故物件に住んでみたいのですか?という質問にも、「住みたいですね、ここまで来たら、幽霊を見たいし、廃墟にも住んでみたいです。廃村にも興味が出てきました」と新しいジャンルにも意欲をみせるタニシさん。

「事故物件で暮らしているとね、人って死ぬよな、って当たり前のことに気がつくんですよ。人が死ぬっていいますけど、その人生があったこと、ストーリーがあるのを感じるんですよ。人生は限りあるし、明日があることも当たり前じゃない。限りある生命のうちに、いろんなところに住み、いろんな経験がしたい」と教えてくれました。

ホラーの特殊メイクそのままで、イベント後に駆けつけてくだったタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ホラーの特殊メイクそのままで、イベント後に駆けつけてくだったタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

事故物件に住むと、人の死を当たり前のこととして受け入れられるように

ここまで豊富なネタがあると、異性にモテそうですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

「まず、事故物件に暮らしていますっていうと、初対面でも盛り上がりますね。話題にも困らないですし、興味を持ってもらえることは多いです。ただ、実際に部屋に来るってなると別で、敬遠されてしまいます。モテにはつながらないかな」とさみしそう。では、タニシさん自身が、事故物件で暮らしてきたメリットはどこにあるのでしょうか。

「事故物件に住めたっていう、自信を得られるところでしょうか。これから先、一人暮らし世帯も増えているので自宅で亡くなる人も増えるでしょうし、多くの人が避ける事故物件を避けずにあえて突っ込んでいくことで、何かをクリアしていくというか、人の死を当たり前のこととして受け入れられるような気がします」とタニシさん。

事故物件に暮らしていると心が休まらないので、外出することが多くなりますと笑うタニシさんですが、事故物件には、そこで暮らした人たちのエピソードが色濃く詰まっています。もしかしたら、事故物件で暮らすということは、人間の光のあたる部分も見えない影の部分も、まるごと受け入れる、ということなのかもしれません。

スーモと共演するのが楽しみだったというタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

スーモと共演するのが楽しみだったというタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

●取材協力
・松原タニシさん Twitter
1982年生まれ、神戸市出身。テレビ番組の企画で事故物件に住むようになり、「事故物件住みます芸人」として数々の事故物件に住み続けている。2018年には実体験と実話をもとにした「事故物件怪談 恐い間取り」(二見書房)を上梓。全国の怪談やトークショー、インターネット配信などにも出演中。元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/157997_main.jpg

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BEAMS流インテリア[4] 新しいのに懐かしい、ビンテージ好きが選んだ経年変化を楽しむ古民家暮らし

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BEAMS流インテリア[4] 新しいのに懐かしい、ビンテージ好きが選んだ経年変化を楽しむ古民家暮らし

渋谷のBEAMS MEN SHIBUYAでショップマネージャーとして働く近藤洋司(こんどう・ひろし)さん。ファッションだけでなくインテリアもビンテージ好きで、住まいは築50年の平屋を全面リノベーションしたという徹底ぶり。鎌倉の高台に建つ、自然と古き良きものに囲まれた、ちょっと懐かしい感じがする古民家のお宅にお邪魔した。●BEAMSスタッフのお住まい拝見・魅せるインテリア術
センス抜群の洋服や小物等の情報発信を続けるBEAMS(ビームス)のバイヤー、プレス、ショップスタッフ……。その美意識と情報量なら、プライベートの住まいや暮らしも素敵に違いない! 5軒のご自宅を訪問し、モノ選びや収納の秘訣などを伺ってきました。経年変化で味わいが増し、価値が落ちないのがビンテージの魅力

鎌倉の築50年の平屋を一年がかりで探し、さらに約半年かけてリノベーションしたという近藤さん。ガーデニング関連の仕事をする妻と2人で住む新居だ。「神奈川出身なので、家を持つならなじみが深く自然豊かなエリアがいいと思い、鎌倉、逗子、葉山で古民家を探し始めました」

近藤さんは、住まいだけでなくファッションもインテリアのコレクションなども一貫して、大のビンテージ好き。ビンテージとの出合いは、中学生のころ。当時サッカーの中田選手や前園選手がビンテージ物の服を着こなしているのに影響を受け、古着に凝り始めたのだという。今でも古着好きで、仕事にもつながる筋金入りだ。

寝室のクローゼットコーナー3列のうち右側2列が近藤さん分。洋服の半分は新品、半分は40年代から70年代ものだという古着好き(写真撮影/片山貴博)

寝室のクローゼットコーナー3列のうち右側2列が近藤さん分。洋服の半分は新品、半分は40年代から70年代ものだという古着好き(写真撮影/片山貴博)

古着の次は、働き始めてから食器に凝り始めた。「いい食器があるとモテるかな、と思って(笑)」とビンテージの北欧食器、ARABIA(アラビア)の絵皿を約8000円で単品購入。そうするとシリーズでそろえたくなって、海外駐在していた姉に頼んだり、インターネットなどさまざまなルートで集めたという。

キッチンのオープンな収納棚には、シリーズごとにRORSTRAND(ロールストランド)やARABIAなどのビンテージ北欧食器がずらり(写真撮影/片山貴博)

キッチンのオープンな収納棚には、シリーズごとにRORSTRAND(ロールストランド)やARABIAなどのビンテージ北欧食器がずらり(写真撮影/片山貴博)

さらにビンテージのコレクションは家具、雑貨、インテリア小物などと、広がっていく。「新しい物より、古い物の方が好きです。ストーリーがあるし、何より本物だから」という近藤さん。「本当にいい物で新しい物は高くて手が出なかったり、数が限られていて手に入らなかったり。さらに新品は中古になった瞬間に価値が下がるけれど、ビンテージ物は価値が下がりにくいのも魅力です」。

古い日本家屋にインダストリアルなテイストを組み合わせた独自空間

新居を探す際、住まいも価値が下がらないビンテージをと考えた。ところが、中古住宅を見学しても、築20年や30年ではただ古いだけで、味わいがあるちょうど良い古さの家はなかった。物件探しを始めて約一年、ようやく鎌倉の高台に建つ築50年の平屋に出合う。古いうえに小部屋が多くて室内は暗く、空き家になって長いため、庭にはススキや雑草が生い茂っていた。それでも「おばあちゃんが住んでいそうな懐かしい感じ。縁側があって、木の建具やレトロなガラスなど、求めていたイメージにピッタリでした」。

早速、雑誌などで作品を見て設計依頼したいと思っていた宮田一彦アトリエさんと現地へ。海が近く湿気が多い鎌倉だが、高台なので古くても基礎や土台は傷んでいないとプロからのお墨付きをもらい、購入して暗く使いにくい間取りは全面的にリノベーションをすることにした。

昔ながらのレトロな木製建具が残る平屋に一目惚れして、これを活かしてリノベーションすることに。高台にあるので遠くの山並みも見えて眺めも良い(写真撮影/片山貴博)

昔ながらのレトロな木製建具が残る平屋に一目惚れして、これを活かしてリノベーションすることに。高台にあるので遠くの山並みも見えて眺めも良い(写真撮影/片山貴博)

リノベーションにあたって近藤さんからオーダーしたのは3つ。アイランドキッチンにすること、フローリングを山形杉の柿渋塗装(柿渋からつくった液による古くからある日本の塗装方法。時間経過によって味わい深い色へと変化していくのが魅力)にすること、物が多いので最大限の収納スペースをつくること。「作品例を見てテイストは気に入っていたので、基本的に間取りはお任せしました」。

近藤さんの住まいのビフォーアフター。4畳半を中心に細かく仕切られ暗かった約60平米を、仕切りを全て取り払い、LDK・寝室・水まわりのシンプルでオープンな空間に(近藤さん提供の間取図をもとにSUUMOジャーナル編集部にて作成)

近藤さんの住まいのビフォーアフター。4畳半を中心に細かく仕切られ暗かった約60平米を、仕切りを全て取り払い、LDK・寝室・水まわりのシンプルでオープンな空間に(近藤さん提供の間取図をもとにSUUMOジャーナル編集部にて作成)

そして出来上がったのは、大きなLDKと寝室と水まわりに分かれたオープンな空間。天井は全て構造材をむき出しにして、ギリギリまで天井の高さを利用してロフトをつくり、物を置けるようにして収納の悩みを解決した大胆なリノベーションだ。

LDKの中央にはステンレスのアイランドキッチン。照明はむき出しの蛍光灯と2つの50年代フランスの工業用照明がインテリアのポイントに(写真撮影/片山貴博)

LDKの中央にはステンレスのアイランドキッチン。照明はむき出しの蛍光灯と2つの50年代フランスの工業用照明がインテリアのポイントに(写真撮影/片山貴博)

LDKと寝室を仕切るのは大正末期の「蔵戸」といわれる重厚な引き戸。アンティーク家具ショップをはしごしてイメージに合うものを近藤さん自身が探した(写真撮影/片山貴博)

LDKと寝室を仕切るのは大正末期の「蔵戸」といわれる重厚な引き戸。アンティーク家具ショップをはしごしてイメージに合うものを近藤さん自身が探した(写真撮影/片山貴博)

寝室の奥には広くオープンなクローゼットスペース。「クローゼットの中は隠したいものではないし、使い勝手の面でも湿気対策面でも扉を付ける必要を感じません」(写真撮影/片山貴博)

寝室の奥には広くオープンなクローゼットスペース。「クローゼットの中は隠したいものではないし、使い勝手の面でも湿気対策面でも扉を付ける必要を感じません」(写真撮影/片山貴博)

収納は縦空間を利用、古い日本家屋にインダストリアルでレトロなインテリア

近藤さんの収納のポイントは、何といっても縦空間の活用。平屋の天井高をフル活用して、ロフトを収納スペースにしていることだ。「季節外の衣類や趣味のキャンプ用品など、かなりの量を収納できて助かっています」。

基本的に全て見せる収納。物はかなり多いほうだというが、これをきれいに見せる秘訣は「きれいに畳むことと、同じものを集めてメリハリをつけること」。なるほど、物をたくさん置くコーナーと、何も置かず、置く場合も間隔を空けてスッキリ見せるコーナーと、メリハリをつけているのだという。

玄関の上など天井裏は全て収納スペースに。かさばるシュラフは天井から吊るして見せて収納。まるでアウトドアショップの展示のようなこのコーナーには物を雑然と、間隔も狭くたくさん置いている(写真撮影/片山貴博)

玄関の上など天井裏は全て収納スペースに。かさばるシュラフは天井から吊るして見せて収納。まるでアウトドアショップの展示のようなこのコーナーには物を雑然と、間隔も狭くたくさん置いている(写真撮影/片山貴博)

洋服は色別・柄別にまとめてきれいに畳むのが見せる収納のコツ。床から天井まで、ハンガーポールの上部も靴などがびっしり(写真撮影/片山貴博)

洋服は色別・柄別にまとめてきれいに畳むのが見せる収納のコツ。床から天井まで、ハンガーポールの上部も靴などがびっしり(写真撮影/片山貴博)

季節外の衣類はアーミー風のトランクにまとめて収納。そのまま寝室のインテリアにもなっている(写真撮影/片山貴博)

季節外の衣類はアーミー風のトランクにまとめて収納。そのまま寝室のインテリアにもなっている(写真撮影/片山貴博)

ビンテージの北欧食器コレクションをディスプレイするため、天井から吊って食器棚をあらかじめ造り付けた。天井までの空いたスペースも季節外の衣類などの収納に(写真撮影/片山貴博)

ビンテージの北欧食器コレクションをディスプレイするため、天井から吊って食器棚をあらかじめ造り付けた。天井までの空いたスペースも季節外の衣類などの収納に(写真撮影/片山貴博)

インテリアも「好きな物を集めただけ」というが、全て徹底したレトロ。日本の古い物はもちろん、北欧、フランス、アフリカ、など国はバラバラだが、共通するのは古き良き懐かしいテイスト。「古い日本家屋にインダストリアルなテイストを組み合わせた」という狙いどおりの仕上がりになっている。

昭和の建具、50年代のフランスの照明、フィンランドの50年代のダイニングテーブルと椅子、これらが見事に調和している(写真撮影/片山貴博)

昭和の建具、50年代のフランスの照明、フィンランドの50年代のダイニングテーブルと椅子、これらが見事に調和している(写真撮影/片山貴博)

レトロな模様のガラス入りの建具や障子は、この家の雰囲気に合わせて近藤さんがアンティークショップ巡りをしてサイズが合うものを探し出した(写真撮影/片山貴博)

レトロな模様のガラス入りの建具や障子は、この家の雰囲気に合わせて近藤さんがアンティークショップ巡りをしてサイズが合うものを探し出した(写真撮影/片山貴博)

少し無理をしてでも本物を買う、という近藤さん。「模倣されたデザインの物が次々に生まれても、その原点である本物を知っていることは仕事の現場でも役に立ちます」。新品は買った時が一番新しく徐々に古くなっていくが、ビンテージ物は経年変化が味になって価値が落ちにくい。新品では手に入らない物でも、時間が経つと手に入りやすいというメリットもあり、自分の元に来るまでのストーリーごと楽しんでいるという。徹底したアンティーク好きのお洒落な古民家、初めて訪れたのに懐かしい気持ちになり和みました。

●取材協力
・BEAMS元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/157992_main.jpg

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【カップル編】渋谷駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

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【カップル編】渋谷駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

JR各線をはじめ、東京メトロの3路線、東急東横線・田園都市線、京王井の頭線が通る渋谷駅は都内屈指のターミナル駅。駅周辺では再開発が進行中で、今後さらなる発展が見込まれることもあり、住宅の相場は都内でも高めの部類。そんな人気エリア・渋谷駅まで30分以内の中古マンションの価格相場を調査! 駅徒歩15分圏内にある、専有面積40平米以上~70平米未満の物件を対象にした、カップル向け中古マンションの物件相場が安い駅トップ10を紹介する。ちなみに基点駅とした渋谷の物件相場は5980万円。ここから30分以内に範囲を広げるとどれほど安く住めるのか? さっそく見ていこう。●渋谷駅まで30分以内の物件相場が安い駅TOP10(11駅)
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/渋谷駅までの所要時間)
1位 久地 2485万円(JR南武線/神奈川県川崎市/29分)
2位 上板橋 2550万円(東武東上線/東京都板橋区/28分)
3位 成増 2780万円(東武東上線/東京都板橋区/24分)
4位 志村坂上 2830万円(都営三田線/東京都板橋区/29分)
5位 中村橋 2880万円(西武池袋線/東京都練馬区/29分)
5位 和光市 2880万円(東武東上線ほか/埼玉県和光市/27分)
7位 登戸 2890万円(JR南武線ほか/神奈川県川崎市/22分)
8位 板橋本町 2900万円(都営三田線/東京都板橋区/25分)
9位 川口 2955万円(JR京浜東北線/埼玉県川口市/26分)
10位 向ヶ丘遊園 2980万円(小田急線/神奈川県川崎市/24分)
10位 宮崎台 2980万円(東急田園都市線/神奈川県川崎市/24分)

渋谷駅から約29分離れると3495万円もダウン!

1位は渋谷駅から約29分のJR南武線・久地(くじ)駅で、中古マンション物件相場は2485万円。物件相場が5980万円だった渋谷駅から30分弱離れると、3495万円も安くなるわけだ。久地駅周辺はのどかな住宅地で大型商業施設はないものの、スーパーや商店街はあるので生活には困らない環境。駅前から10分ほど北に歩くと多摩川が流れている。駅前の府中街道を西へ車で約5分走ると「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」や自然豊かな生田緑地があり、休日も楽しく過ごせそうだ。

生田緑地ばら苑(写真/PIXTA)

生田緑地ばら苑(写真/PIXTA)

久地駅からJR南武線で2駅目が7位・登戸(のぼりと)駅。こちらは小田急線も通っており、物件相場は久地駅より約400万円アップの2890万円となっている。小田急線代々木上原駅~登戸駅の複々線化による2018年3月のダイヤ改正で、登戸駅から快速急行に乗ると新宿駅まで3駅・約18分という早さに! この複々線化で通勤・通学ラッシュも和らいだと評判でもあり、登戸駅は狙い目だろう。

また、登戸駅から1駅の小田急線・向ヶ丘遊園駅が10位にランクイン。登戸駅から歩いても10分ほどしか離れていないが、物件相場は登戸駅より90万円アップの2980万円だった。向ヶ丘遊園駅から小田急線・通勤急行を利用すれば新宿駅まで4駅・約20分。向ヶ丘遊園駅も登戸駅も、渋谷駅まで30分以内であることに加え、新宿駅へのアクセスのよさも魅力だ。

新宿や池袋にも行きやすい便利な駅もランクイン

上記で取り上げた1位・久地駅、7位・登戸駅、10位・向ヶ丘遊園駅と、同じく10位の宮崎台駅はいずれも神奈川県川崎市。トップ11駅中の4駅が、渋谷駅の西南部という結果だった。残りの7駅はというと、渋谷駅の北部~北西部に点在していた。そのうち4駅は東京都板橋区に集中している。

東京都板橋区に位置するのは、2~4位と8位の駅。2位・上板橋駅と3位・成増駅は東武東上線で3駅の位置関係、4位・志村坂上駅と8位・板橋本町駅は都営三田線で2駅という位置関係でそれぞれ接近している。東武東上線沿線ならば渋谷に並ぶ繁華街の池袋駅まで1本、都営三田線沿線ならオフィス街である大手町駅まで1本で行けるのが魅力だろう。

東京・丸の内(写真/ PIXTA)

東京・丸の内(写真/ PIXTA)

また、5位・和光市駅は所在地としては埼玉県和光市だが、列車なら東武東上線で成増駅から1駅目というロケーション。東京メトロ有楽町線・副都心線が乗り入れる駅でもあり、副都心線直通の列車に乗ると乗り換えなしで渋谷に行くことができる。

さて、今回トップ10の駅はいずれも物件相場が2000万円台に収まった。つまり渋谷から電車で30分の範囲にまで住まい探しの条件を広げれば、渋谷駅の相場より3000万円以上も手ごろな物件を探すのは難しくないということ。新宿駅や池袋駅など、渋谷駅以外の都心部へのアクセスがいい駅も多く、単に安いだけではなくて住まいの候補地として検討する価値がある駅がランクインしたといえるだろう。

次回は渋谷駅から30分以内にある、専有面積70平米以上~100平米未満に絞った、ファミリー向けの中古マンションの物件相場ランキングを紹介する。どんな駅がランクインするか、お楽しみに。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積40平米以上70平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2018年3⽉1⽇~2018年5⽉31⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない・乗り換え時間を含む)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158094_main.jpg

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BEAMS流インテリア[5] ないものは創る!賃貸1Kの部屋を自分らしく住みこなすDIY女子

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BEAMS流インテリア[5] ないものは創る!賃貸1Kの部屋を自分らしく住みこなすDIY女子

原宿の勤務先まで乗り換えなしで通勤できる賃貸に住むBEAMS BOYの島田華衣(しまだ・けい)さん。25平米の1Kという限られた空間ながら「欲しいものが手に入らなければ自分で創る」というDIY精神を発揮して、仕事柄多い洋服や靴、スケボーなど趣味のものなどもしっかり収納。賃貸でもOKなDIYやオリジナルな工夫あふれる部屋を紹介しよう。●BEAMSスタッフのお住まい拝見・魅せるインテリア術
センス抜群の洋服や小物等の情報発信を続けるBEAMS(ビームス)のバイヤー、プレス、ショップスタッフ……。その美意識と情報量なら、プライベートの住まいや暮らしも素敵に違いない! 5軒のご自宅を訪問し、モノ選びや収納の秘訣などを伺ってきました。15軒内見して選んだのは人気沿線で便利な立地の和風レトロな25平米の1K

島田さんのお仕事はBEAMS BOYのVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)として店舗の陳列や空間づくりをすること。勤務先が町田から原宿になったのをきっかけに、通勤の利便性を考えて今の部屋に引越したというので、まずは部屋選びのこだわりポイントを聞いてみた。

「以前住んでいたのは横浜の5.3万円の部屋だったので、都内とはいえせめて家賃は6万円台に抑えたい。沿線は以前住んでいたので馴染みもあり、しかも通勤が一本ですむ東急東横線が希望でした。女性の一人暮らしなので防犯上2階以上でベランダ付き、料理もするのでワンルームでなくキッチンが分かれた間取り、収納もなるべく多く、と欲張りました」と島田さん。

人気沿線での部屋探しだったこともあり、内見した部屋は不動産会社3社で合計15軒。最終的に島田さんが選んだのは、昔ながらのレトロな玄関ドアに惹かれたという築36年(当時)のこの物件だった。新しい物件も見たけれど、どれも似ていて個性がなくてつまらないと感じたという。

家賃はギリギリ6万円台に収まり、東急東横線学芸大学から徒歩7分で2階、ベランダ付き、と希望通り。室内も押入れや廻り縁(まわりぶち ※天井と壁の境目に取り付ける縁のような部材のこと)など昔ながらの和室の面影を残しながら、床はフローリングになっていたのも決め手のポイントだった。「床に座る和風の暮らしにしたかったので和室でもよかったのですが、畳は重い物を置くと跡が付いて修繕が大変そう」と退去後のことまで考えるあたり、さすが上京して10年、引越しも3回目のベテランだ。

島田さんが一目で気に入ったという、典型的昭和レトロな玄関ドアとタイルの浴室がある1K(写真撮影/飯田照明)

島田さんが一目で気に入ったという、典型的昭和レトロな玄関ドアとタイルの浴室がある1K(写真撮影/飯田照明)

昭和レトロな間取りを活かし、DIYと見せる収納で空間活用

それでは昭和レトロな1Kを、お仕事洋服や靴、趣味も多い島田さんがどのように住みこなしているのか具体的にご紹介していこう。まずは玄関を入ってすぐの靴の収納棚はDIYで作成したもの。造り付けの靴箱はあったが全く収納量が足りず、元々持っていた棚を置くと玄関をふさいで通りにくくなってしまう。そこで靴が置ける最小限の奥行きでDIYでオリジナルの棚をつくり、靴の収納と玄関への出入りのしやすさ、両方を手に入れることに成功。7~8年続けている趣味のスケートボードも、よく使うものは玄関先に置いている。

左手の造り付けの靴箱には12足しかはいらないため、通路の邪魔にならない奥行きの浅いオリジナルの靴用の棚をDIYして40足以上をたっぷり収納(写真撮影/飯田照明)

左手の造り付けの靴箱には12足しかはいらないため、通路の邪魔にならない奥行きの浅いオリジナルの靴用の棚をDIYして40足以上をたっぷり収納(写真撮影/飯田照明)

棚の奥行きを靴のサイズより小さくすることで、収納量をキープしつつ通路の邪魔にならないよう動線にも配慮。以前使っていた収納棚の枠を利用して、棚板を新しくしたDIYだ(写真撮影/飯田照明)

棚の奥行きを靴のサイズより小さくすることで、収納量をキープしつつ通路の邪魔にならないよう動線にも配慮。以前使っていた収納棚の枠を利用して、棚板を新しくしたDIYだ(写真撮影/飯田照明)

島田さんのお部屋は典型的な1Kの間取り。元々収納は玄関入って左手の靴箱と押入れひとつのみ。これをDIYで収納たっぷりの部屋に。玄関入ってすぐのDIYの靴棚も通常の奥行きの棚では通路がふさがれてしまう(提供資料を基にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

島田さんのお部屋は典型的な1Kの間取り。元々収納は玄関入って左手の靴箱と押入れひとつのみ。これをDIYで収納たっぷりの部屋に。玄関入ってすぐのDIYの靴棚も通常の奥行きの棚では通路がふさがれてしまう(提供資料を基にSUUMOジャーナル編集部にて作成)

多趣味なうえに、収集癖もあるという島田さん。現在の趣味はスケートボード、エレキギター、コーヒー、好きなアーティストの作品集コレクションなど幅広い。ちなみに23歳から始めたというスケートボードは歴代のものも合わせて7枚もあるという。「一度しまい込むとそのままになってしまう」という理由から、基本的に全て見せて収納する主義。「いつも見せるようにしていれば忘れないし、湿気もこもりませんよ」。

靴棚と並んで設置されたキッチン用品の棚と化粧品やバス用品を収納したワゴン。こちらも使いやすさ重視の見せる収納だ(写真撮影/飯田照明)

靴棚と並んで設置されたキッチン用品の棚と化粧品やバス用品を収納したワゴン。こちらも使いやすさ重視の見せる収納だ(写真撮影/飯田照明)

キッチン用品の棚には趣味のコーヒー豆やコーヒーミル。パスタなどの食材も見せて収納されている(写真撮影/飯田照明)

キッチン用品の棚には趣味のコーヒー豆やコーヒーミル。パスタなどの食材も見せて収納されている(写真撮影/飯田照明)

ギャラリーのような、このスペースはなんとトイレ! 歴代のお気に入りのスケボーが飾られ、収納を超えてオブジェ的存在に(写真撮影/飯田照明)

ギャラリーのような、このスペースはなんとトイレ! 歴代のお気に入りのスケボーが飾られ、収納を超えてオブジェ的存在に(写真撮影/飯田照明)

収納スペースの面でも、洋風のクローゼットより和風の押入れのほうが奥行きもあり物がたっぷり入る。この部屋を選んだ理由のひとつである押入れならではの奥行きをフルに活用して、衣類は全てこちらに引き出し式に収納している。ただしプラスティックケースなどふたつきでしまい込むと忘れるし、湿気がこもって服が傷んだ経験もあるので基本オープンに。押入れの戸も普段は開け放して使っている。

押入れスペースは一間分。上部は左右どちらもハンガーポールに上着を吊るし、下部は奥行きを利用した引き出す収納に。左下部にはパンツ類やトレーナーなどかさばる物を色別に、右はTシャツ類など軽い物を中心に(写真撮影/飯田照明)

押入れスペースは一間分。上部は左右どちらもハンガーポールに上着を吊るし、下部は奥行きを利用した引き出す収納に。左下部にはパンツ類やトレーナーなどかさばる物を色別に、右はTシャツ類など軽い物を中心に(写真撮影/飯田照明)

重量感がある衣類もたっぷり収納して楽々引き出せるワゴンは、押入れの奥行きぴったりのものをインターネットで探して購入(写真撮影/飯田照明)

重量感がある衣類もたっぷり収納して楽々引き出せるワゴンは、押入れの奥行きぴったりのものをインターネットで探して購入(写真撮影/飯田照明)

引越しても家具は買わない! 落ち着く和と好きなアメカジをミックスしてDIYサバイバル生活

島田さんが部屋で過ごす際は、インテリアのポイントになっている自作のテーブルを前に、床に座るかベッドをソファ代わりにするか。実はこの自作のテーブル、冬にはこたつにもなるという優れものでDIYに目覚めるきっかけとなった作品。

元々実家にもこたつがあって、椅子にテーブルというより床に座る生活がしたく、冬にはこたつが必須だった。ところがおしゃれなデザインのこたつはなく、友人からもらったこたつも手放せないし、狭い部屋なのでいくつもテーブルは置けない。イメージ通りのものを探してもなければ、おしゃれな天板をつくって通年使用しようと思ったのだという。

島田さんのインテリアのポイントとなるこたつ兼用のテーブルと壁収納はともにDIY作品。テーブルは大好きなコーヒーが似合うテーブルをと映画「コーヒー&シガレッツ」に出てくるチェッカーフラッグのテーブルのイメージからのオリジナルデザイン。壁収納はまだまだ進化中(写真撮影/飯田照明)

島田さんのインテリアのポイントとなるこたつ兼用のテーブルと壁収納はともにDIY作品。テーブルは大好きなコーヒーが似合うテーブルをと映画「コーヒー&シガレッツ」に出てくるチェッカーフラッグのテーブルのイメージからのオリジナルデザイン。壁収納はまだまだ進化中(写真撮影/飯田照明)

4年前の初DIY作品だというこたつテーブルの天板。チェッカーフラッグを少なめに市松模様風にして、周辺を木材で囲んで和テイストをミックスしたオリジナルデザインだ。冬にはこたつになるとは思えない、インテリアの中心。しかも制作日数は半日を3回程度、材料費約6000円だというから驚きだ(写真撮影/飯田照明)

4年前の初DIY作品だというこたつテーブルの天板。チェッカーフラッグを少なめに市松模様風にして、周辺を木材で囲んで和テイストをミックスしたオリジナルデザインだ。冬にはこたつになるとは思えない、インテリアの中心。しかも制作日数は半日を3回程度、材料費約6000円だというから驚きだ(写真撮影/飯田照明)

4年前にテーブルをつくってから、すっかりDIYに夢中に。「自分の部屋はスペースも限られているため、友人に頼まれたものでDIY修行しました(笑)」。マガジンラック、テーブル、靴箱、額など作品も多彩で「インスタグラムで #島田工務店 、として作品をアップしています」というから本格的だ。

今回の引越しの際も、新たな家具は購入せず、ないものはDIY でつくるという「DIYサバイバル生活」だという。壁の収納棚は見事な見せる収納で、収納量の確保とインテリアを兼ねている。

見せる収納のポイントになる自作の収納棚はテレビ台も兼ねた優れもの。材料費5000~6000円、制作日数は色塗りから始めて、トータル2日間だという(写真撮影/飯田照明)

見せる収納のポイントになる自作の収納棚はテレビ台も兼ねた優れもの。材料費5000~6000円、制作日数は色塗りから始めて、トータル2日間だという(写真撮影/飯田照明)

壁収納は、賃貸なので傷をつけず原状復帰できるように気を付けてDIY。支柱となる角材5本を高さ調整できる突っ張り金具のパーツで固定し、角材に一枚の板を箱状にした収納棚を付けてつくる(写真撮影/飯田照明)

壁収納は、賃貸なので傷をつけず原状復帰できるように気を付けてDIY。支柱となる角材5本を高さ調整できる突っ張り金具のパーツで固定し、角材に一枚の板を箱状にした収納棚を付けてつくる(写真撮影/飯田照明)

カーテンはIKEAのクリップで切った布を挟んで吊るしただけのシンプルなもの、ベッドは工場などで使うパレットをインテリアに馴染むよう着色して台にして、マットレスを乗せただけの簡単なDIY。確かに全てDIYで新しく買ったものはないにもかかわらず、この部屋にぴったりで島田さんの個性あふれる部屋に仕上がっている。

ベッドは工場などで使うパレットをインテリアに合うよう着色した土台の上にマットレスを置いただけのシンプルなもの。「通気性もあり、低めでちょうど使いやすいです」(写真撮影/飯田照明)

ベッドは工場などで使うパレットをインテリアに合うよう着色した土台の上にマットレスを置いただけのシンプルなもの。「通気性もあり、低めでちょうど使いやすいです」(写真撮影/飯田照明)

自分の部屋のインテリアだけでなく、いまでは友人からのDIY依頼物も多くて、製作待ちリストがあるという島田さん。この部屋もこれから洗濯機上にランドリースペースをつくるなど、収納を増やしていく予定とのこと。お気に入りのインテリアショップに行っても「高い家具はなかなか買えないので、インスピレーションだけもらってDIYのパーツを買って帰ります」という徹底したDIY女子。賃貸1Kをこれだけ自分らしく住みこなせるのは、DIYの腕とセンスと工夫あってこそ、ですね。

●取材協力
・BEAMS元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158249_main.jpg

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湘南生まれ、サーフィン育ち! 人気タウン藤沢市辻堂を地元サーファーに案内してもらった

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湘南生まれ、サーフィン育ち! 人気タウン藤沢市辻堂を地元サーファーに案内してもらった

サーフィンをはじめとするマリンスポーツが盛んな湘南。なかでも、神奈川県藤沢市は人気があり、サーファーの移住者も少なくないらしい。今年の4月には、人口が43万人を突破したそうだ。そんな藤沢ではいったいどんな暮らしがかなうのだろうか? 今回は、藤沢のなかでも駅前の再開発で注目を集める「辻堂周辺」を、実際にそこに暮らす地元の方に案内してもらった。
サーファーに大人気のビーチタウン中野拓さん。後ろに見えるのは「江の島」(写真撮影/小野洋平)

中野拓さん。後ろに見えるのは「江の島」(写真撮影/小野洋平)

今回、街のガイド役をお願いしたのは、藤沢で生まれ育ち、現在はフリーのWebデザイナーをしている中野・拓(なかの・たく)さん。「太陽がファンデーション」と豪語するだけあって、お肌がこんがり焼けている。

中野さん(以下省略)「辻堂の魅力といえば、やはりサーフィンだよ。まずは海に行ってみようか」

というわけで、さっそく中野さんのマイカーに乗り込み、辻堂の街案内がはじまった。言わずもがな、車のBGMはサザンオールスターズである。

「藤沢住民は車を持っている人が多いと思う。移動手段としても楽だし、基本的にアウトドアやスポーツ好きが多いから、車があると道具を運ぶのに便利なんだよね」

国道134号線へ続く昭和通り。道沿いにはサーフショップやカフェなどが立ち並ぶことから「サーファー通り」と呼ばれている(写真撮影/小野洋平)

国道134号線へ続く昭和通り。道沿いにはサーフショップやカフェなどが立ち並ぶことから「サーファー通り」と呼ばれている(写真撮影/小野洋平)

辻堂駅から辻堂海岸までつながるサーファー通りを走ること10分。辻堂海浜公園に到着した。

「サーフィンする人は辻堂海浜公園に車を止める場合が多いかな。というのも、駐車場は800台まで収容可能だし、屋外には無料のシャワーもついているので多くのサーファーが重宝しているんだよ」(日中は有料の温水シャワーも使用可能)

1年を通してサーフィンが盛んな辻堂海岸(写真撮影/小野洋平)

1年を通してサーフィンが盛んな辻堂海岸(写真撮影/小野洋平)

中野さんの言うとおり、平日の午前中にもかかわらず、駐車場にはたくさんの車が止まっており、海では多くのサーファーが波に乗っていた。

「サーフィンはオールシーズン、老若男女が楽しめるところがいいよね。ちなみに湘南には初心者も多いので、気軽に体験するのにいいと思うよ」

そんな中野さん自身はというと、サーファー歴20年のベテラン。現在住んでいる実家は藤沢市内にあるが、より海に近い場所へ引越そうと、1人暮らしも検討しているそうだ。……サーフィンへの情熱がとてつもない。

南国気分が味わえるヤシの木が植えられている(写真撮影/小野洋平)

南国気分が味わえるヤシの木が植えられている(写真撮影/小野洋平)

なお、辻堂海浜公園にはジャンボプールや交通展示館、芝生広場などがあり、多くの子連れファミリーが訪れており、年間を通じてイベントが多数開催されているそうだ。また、辻堂海浜公園以外にも、市街地には多くの公園が点在しているとのこと。

再開発で生まれ変わった辻堂駅北口

続いて案内してくれたのは、JR東海道線と湘南新宿ラインが乗り入れる辻堂駅。海に程近いだけではなく、東京駅や新宿駅にも1時間ほどでダイレクトアクセスでき、東京都心への交通利便性も悪くない。

駅前広場はキレイに整備され、広々としている(写真撮影/小野洋平)

駅前広場はキレイに整備され、広々としている(写真撮影/小野洋平)

2010年には地上6階、地下2階建ての商業施設『Luz』、2011年には湘南最大級のショッピング施設『テラスモール湘南』がオープンするなど、近年辻堂駅では大規模な再開発が行われ、駅周辺は便利かつ近代的な街並みに生まれ変わった。それに伴い、街の人気が上がっているという。

工場跡地を利用した「テラスモール湘南」には約280店舗が入る(写真撮影/小野洋平)

工場跡地を利用した「テラスモール湘南」には約280店舗が入る(写真撮影/小野洋平)

「北口は『シークロス』と呼ばれる再開発計画によって、大きく変わったよ。ショップだけでなく、飲食店やシネコンなどが入っているので、地元民以外にもたくさんの人が辻堂を訪れるようになったと思う」と中野さん。

さらに、駅周辺には湘南藤沢徳洲会病院をはじめ、辻堂市民図書館、子育て支援センター、神台公園など充実した環境。

テラスモールの裏側に立つ湘南藤沢徳洲会病院(写真撮影/小野洋平)

テラスモールの裏側に立つ湘南藤沢徳洲会病院(写真撮影/小野洋平)

「主観だけど、藤沢市で育った人は地元に住み続ける人が多い気がするんだよね。おそらく、市内の施設が充実してきただけじゃなく、行政のサポートもしっかりしてるからだと思うよ」

実際、藤沢市では小学校6年生までの子どもについては、通院・入院の医療費が所得に関係なく無料という制度がある。また、65歳以上の方対象の寝具乾燥消毒サービスや障がい者施設等通所交通費助成などの福祉の補助もある。

再開発により快適な生活環境が整備されつつある辻堂。海に近いだけでなく、住環境としても整っているようだ。

辻堂には珍しい、夜遅くまで楽しめる「湘南T-SITE」

次に中野さんが案内してくれたのは、辻堂駅から少し車を走らせたところにある『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)』。

Fujisawa SSTは、住宅はもちろんのこと、クリニックや保育所、公園などの施設が充実した新しい街だ。また、電気自動車のシェアリングサービスといった先進的な取り組みを進めているそう。

「『Fujisawa SST』はすごい人気だね。街並みはオシャレだし、住宅街としても機能的だから俺も住んでみたいよ」

2014年にオープンした「湘南T-SITE」(写真撮影/小野洋平)

2014年にオープンした「湘南T-SITE」(写真撮影/小野洋平)

中野さんが特にオススメしてくれたのは、国内2店舗目のT-SITEとなる『湘南T-SITE』。13万冊の書籍をそろえる『湘南 蔦屋書店』があるほか、年間1000回ものイベントを開催しているそうだ。

「『湘南T-SITE』は一番のお気に入りだね。辻堂の店って全体的に閉まるのが早いんだけど、ここは遅くまでやっているから、ついつい目的がなく来てもブラブラしちゃうんだよ」

理由はサーフィンが好きだから! 東京から移住した方にインタビュー

近年では、住宅地の増加や駅周辺のマンション建設によって多くのファミリーが新たに住み始めているという辻堂。それだけでなく、単身の移住者も珍しくないという。

というわけで、昨年、都内から移住したというMさんを紹介してもらい、お話を聞いてみた。

中野さんの友人Mさん(写真撮影/小野洋平)

中野さんの友人Mさん(写真撮影/小野洋平)

――どうして移住されたんですか?

「3年前にサーフィンにハマったからです。それと同時に会社を辞め、フリーランスになりました。通勤する必要がなくなったため、今では波の良い日は朝から海に行けますよ」

サーフボードは7枚所有(写真撮影/小野洋平)

サーフボードは7枚所有(写真撮影/小野洋平)

――どうして辻堂だったんですか?

「海にも都内にも気軽にアクセスできる点で選びました。また、湘南は僕みたいにサーフィン好きが多く移住しているので、サーファーに合った物件や施設が多かったんです。まあ人気エリアな分、思ったより家賃が高かった印象ですけどね(笑)」

ボードを乗せられるビーチクルーザーも所有。それを借りて楽しむ中野さん(写真撮影/小野洋平)

ボードを乗せられるビーチクルーザーも所有。それを借りて楽しむ中野さん(写真撮影/小野洋平)

――移住して良かったと思うところはどこですか?

「やっぱり、家からウエットスーツを着て、海までビーチクルーザーで行けるのは非常に便利です。帰りもぬれたまま帰ってきて、風呂場に直行できますから」

辻堂は、便利さと湘南ならではのスローライフの両方を享受できる場所、とMさん。Mさんのような生活を求めて移住する人は少なくないようだ。

辻堂の家賃相場は?

最後に気になる家賃相場をチェックしてみよう。辻堂駅の一人暮らし向け賃貸物件の家賃相場は6.1万円。辻堂駅の使える路線はJR東海道本線と湘南新宿ラインの2路線だが、快速が止まる隣の藤沢駅に出れば、江ノ島電鉄と小田急江ノ島線が利用できる。

というわけで、街のポイントをまとめると……

・豊かな自然環境があり、公園も数多く点在
・再開発を遂げた駅前の充実ぶり
・街にはファミリー層や単身の移住者が年々増えている印象

なんとなくオシャレなイメージが先行していた湘南エリア。しかしそれだけでなく、便利な生活環境や、計画的な街づくりなど、豊かな毎日が送れそうな魅力あふれるエリアでもあった。自然を身近に感じながら、都市のにぎわいも楽しむ。最先端の湘南が味わえる街こそ、ここ辻堂なのかもしない。

●調査概要
【調査対象駅】辻堂駅
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、面積10平米~40平米、築年数35年以下、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2018年4⽉1⽇~2018年6⽉30⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158265_main.jpg

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”地域との連携、管理活動と平行” 絶景マンション、ブリリア有明シティタワー【管理はつなぐ[11]】

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ブリリア有明シティタワー  ”管理活動と並行して地域とも連携”【管理はつなぐ[11]】

かつては空地が多かったが、近年は開発が活性化し、次々と高層タワーが登場している有明エリア。同エリア内西部で、2015年に竣工したのが「ブリリア有明シティタワー」だ。ラウンジやスパ、ゲストルームなど、多彩な共用施設が最上階の33階に集まり、昼夜で趣の異なる絶景を楽しめる。【住民経営マンション・管理はつなぐ】
高い資産性を守って次世代に渡したい。都心住宅に暮らす人々の誠実な管理に学ぶ。『都心に住む』の人気連載からの転載記事です共用部の運用法見直しや地域の取り組みを積極展開

「33階の共用施設は、眺望が素晴らしいこともあって、利用者が多く活況です。資産価値の面でもこのマンション特有のポイントとしてとらえ、快適性と利便性の向上を図っています」(管理組合理事長、以下同)


例えば、1カ月先まで予約でいっぱいだというゲストルーム。以前は、その都度、予約可能か問い合わせる必要があったが、新たに1階コンシェルジュに案内掲示板を設置して空き状況を公開。急にキャンセルが出た際なども、タイムリーに利用希望者を募れるようになった。
33階にあるスパについては、利用者の多い夜間と土日に、同フロア内で受付を開設。わざわざ1階に立ち寄らなくても利用できるようにした。

最上階にある「テラスガーデン」。運河やタワー群など、ウォーターフロントならではの眺望を堪能できる(写真撮影/柴田ひろあき)

最上階にある「テラスガーデン」。運河やタワー群など、ウォーターフロントならではの眺望を堪能できる(写真撮影/柴田ひろあき)

「オーナーズスイート」と名付けられたゲストルームは全4タイプ。いずれにも写真のようなテラスが設置されていて、リゾートホテルのような趣になっている(写真撮影/柴田ひろあき)

「オーナーズスイート」と名付けられたゲストルームは全4タイプ。いずれにも写真のようなテラスが設置されていて、リゾートホテルのような趣になっている(写真撮影/柴田ひろあき)

暮らしやすさの向上やコミュニティ形成に対する意識が高い

 また、年に2回の防災訓練やクリスマスイベントの開催など、マンション内のコミュニティ形成にも積極的だ。
「有事の際の備えとして、管理組合理事や災害協力隊などを中心に、日ごろから居住者間のコミュニティ形成に努めています。約600戸も擁するマンションなので、こうしたイベントを通じてお互いに顔見知りになっていただき、安心感を醸成していきたいですね」
 ブリリア有明シティタワーは、周辺5棟のマンションと連合自治会を組織。理事長が自治会役員を兼務している。
「各マンションで共通のアンケート調査を実施した上で、自治会から行政に路線バスの運行ルート変更やダイヤ改正を申請し、実現させています。また、近くの有明スポーツセンターでマンション対抗運動会を開催するなど、一帯の交流活性化にも取り組んでいます」
 もとは住宅が少なく、近年になって住民が急増したエリアだからこそ、暮らしやすさの向上やコミュニティ形成に対する意識が高いのだろう。
「管理組合や自治会の活動は、住民一人ひとりが参加して初めて意味あるものになると思います。自分で購入した資産を自らの手で守り、より暮らしやすくしていくのは、当然のことですよね。この点を全員で共有することで、絆を強めていければと思っています」

1 階のメインエントランスを入ってすぐの場所に広がる開放的なラウンジ(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階のメインエントランスを入ってすぐの場所に広がる開放的なラウンジ(写真撮影/柴田ひろあき)

マンションの外観。高い建物が隣接していないので、視界が開けている(写真撮影/柴田ひろあき)

マンションの外観。高い建物が隣接していないので、視界が開けている(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階にあるキッズルーム。スペースを充てるだけでなく、子ども向けのデザインに仕上げてある(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階にあるキッズルーム。スペースを充てるだけでなく、子ども向けのデザインに仕上げてある(写真撮影/柴田ひろあき)

建築・住宅計画等を専門とする東京大学教授 大月敏雄氏が語る建築家の視点
最上階に共用施設を集約した設計は、多くの入居者からの求心力が高まるという意味でも秀逸だ。その上で使い勝手をさらに向上させているのも素晴らしい。
理事会や総会での協議に先だって、事前にアンケート調査を実施することが多いと聞いた。入居者の家族構成やライフスタイルは刻々と変化するものだし、大規模物件であればもともと多種多様な世帯が集まっている。あらかじめ家庭内で話し合って出た結果を、入居者の総意に反映させられるのはとても有意義だ。
昨年からWEBサイトやFacebookページを立ち上げ、物件自体や有明エリアの資産価値向上にも努めているそうだが、住民の当事者意識を高める上でも効果的だと思う。.エントランスで開催されたクリスマス会の様子(写真提供/ブリリア有明シティタワー管理組合)

.エントランスで開催されたクリスマス会の様子(写真提供/ブリリア有明シティタワー管理組合)

理事は全15名。任期は4 年を最長4年。個々が任意に決められる。4 つの専門部会を常設しているが、夏祭り実行委員やクリスマス実行委員など、必要に応じて期間限定の組織も設置する

理事は全15名。任期は最長4年。個々が任意に決められる。4 つの専門部会を常設しているが、夏祭り実行委員やクリスマス実行委員など、必要に応じて期間限定の組織も設置する

※この記事は『都心に住む』2018年4月号(2018年2月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります

物件DATA
江東区有明/2015年/地下1階・地上33階建て/総戸数601戸/分譲時売主:東京建物、住友不動産/設計・施工:三井住友建設/取材協力:ブリリア有明シティタワー管理組合、住友不動産建物サービス元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158327_main.jpg

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「小学生で身につける片づけ力」「中古マンションの見分け方」「BEAMS流インテリア」【7月人気記事まとめ】

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7月から記録的な猛暑が続いているうえに、台風も到来。気が抜けないシーズンです。さてSUUMOジャーナルで7月に公開した記事では、「2018年の路線価発表」や「良い中古マンションの見分け方」「家探しあるある」など、お金や家探しのコツやエピソードなどについての記事が人気でした。TOP10の記事を詳しくご紹介します。
7月の人気記事ランキングTOP10はこちら!

第1位:【速報】2018年の路線価が発表。全国平均で3年連続上昇。その要因は?
第2位:「東京駅」まで30分以内・家賃相場が安い駅ランキング 2018年版
第3位:【2018年】東京23区の家賃相場が安い駅ランキング! 最安は5万円台
第4位:夏休みがチャンス! 「小学生のうちに“片づけ力”を身につける」ススメ
第5位:BEAMS流インテリア[2] 世界各国のアンティーク家具・民芸品がつくりだす極上おもてなし空間
第6位:「良い中古マンションの見分け方を教えてください」 住まいのホンネQ&A(7)
第7位:家探しあるあるに笑って感動。漫画『わが家は今日も建築中!』がおもしろい
第8位:BEAMS流インテリア[3] 休日が待ち遠しい!鎌倉のモダンなこだわりの注文住宅ができるまで
第9位:YKK吉田前会長、71歳男のロマン! 地方創生、パッシブタウンからヤギ牧場まで あの人のお宅拝見[9]
第10位:上野や浅草が徒歩圏内! 地元カフェオーナーと台東区「入谷」の魅力を探索してみた
※対象記事:2018年7月1日~2018年7月31日までに公開された記事
※集計期間:2018年7月1日~2018年7月31日のPV数の多い順

「路線価発表」「家賃相場が安い駅ランキング」など、お金関連の記事が人気

第1位:【速報】2018年の路線価が発表。全国平均で3年連続上昇。その要因は?

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

2017年の路線価が国税庁から発表されました。地価は上がったのでしょうか、それとも下がったのでしょうか。32年連続日本一の東京のあの場所は記録更新となったのか、上昇率の全国トップは……? 今年の注目ポイントをプロが解説します。

第2位:「東京駅」まで30分以内・家賃相場が安い駅ランキング 2018年版

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

上位の半数が千葉県の駅に。特急や快速が運行するJR総武線やJR京葉線の影響が大きいようです。その他、ディープな魅力にあふれた下町、深夜まで営業しているスーパーなど施設が充実した駅、小児科が複数ある駅など、さまざまな駅がランクインしています。詳細は記事をご覧ください!

第3位:【2018年】東京23区の家賃相場が安い駅ランキング! 最安は5万円台

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

家賃が高いことで知られている東京23区ですが、探せば穴場や掘り出し物の地域はあります! ランキング内の約半数を占めたのは足立区の駅。実は足立区は、北千住駅が「SUUMO住みたい街ランキング2018」の穴場だと思う街で1位に選ばれるなど、家賃相場だけではない魅力も。お得に暮らせる駅はどこか? ぜひチェックしてみましょう!

第4位:夏休みがチャンス! 「小学生のうちに“片づけ力”を身につける」ススメ

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

うちの子は何度言っても片づけができない……とお嘆きのみなさん。もしかしたら子どもは片づけができないのではなく、片づけ方が分からないのかもしれません。片づけができないと、時間やお金を無駄にしてしまうこともあります。そうならないためには子どものうちに「片づけ力」を身につけることが大切。夏休みの自由研究のテーマとして「片づけ」を学ぶ方法をご紹介します。

第5位:BEAMS流インテリア[2] 世界各国のアンティーク家具・民芸品がつくりだす極上おもてなし空間

(写真撮影/飯田照明)

(写真撮影/飯田照明)

センス抜群の洋服や小物等の情報発信を続けるBEAMS(ビームス)スタッフのご自宅に訪問する連載です。第2回は、「気に入ったものに巡り合うまではたとえ不自由でも間に合わせは買わない」と断言するスタイリングディレクターが住む、メゾネットタイプのリノベーションマンション。異なるインテリアテイストを組み合わせる秘訣、DIYで収納力アップする工夫など、居心地のいい住まいのコツを探ってみました。

「中古マンションの見分け方」「家探しあるある」など、家探しについての記事がランクイン

第6位:「良い中古マンションの見分け方を教えてください」 住まいのホンネQ&A(7)

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

新築マンションの価格高騰によって、注目を集めている中古マンション。中古マンションを見学する際のチェックすべき場所、気を付けるポイントなどをご紹介。自分でチェックすることが難しい場合はホームインスペクターに依頼することも考えましょう。少しでも条件のよい中古マンションを手に入れるための参考にしてみてください。

第7位:家探しあるあるに笑って感動。漫画『わが家は今日も建築中!』がおもしろい

(画像提供/『わが家は今日も建築中!』尚桜子 NAOKO)

(画像提供/『わが家は今日も建築中!』尚桜子 NAOKO)

家を買いたいという気持ちは一致しているのに、実際にマイホーム探しをはじめると夫婦ゲンカばかり……。そんなエピソードに共感する人も多いのでは? そんなマイホーム探しのあるあるネタ満載の漫画の作者である尚桜子さんにインタビューしてみました。

第8位:BEAMS流インテリア[3] 休日が待ち遠しい!鎌倉のモダンなこだわりの注文住宅ができるまで

(写真撮影/飯田照明)

(写真撮影/飯田照明)

BEAMS(ビームス)スタッフのご自宅に訪問する連載第3回は、ファッション好きで、ご夫婦ともにスーパーバイザーのお二人が住む古都・鎌倉のモダンな注文住宅。ご夫婦の新居は、こだわりを予算内で実現するための工夫、見せる収納の秘訣などが盛りだくさんの、まだまだ進化を続ける住まいでした。

第9位:YKK吉田前会長、71歳男のロマン! 地方創生、パッシブタウンからヤギ牧場まで あの人のお宅拝見[9]

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

YKKの吉田前会長は現在富山県黒部市にある「パッシブタウン(PASSIVETOWN)」に住みながら、エネルギー消費の少ない街・住まいを実現する実証実験を研究中です。もともとは社員寮や社宅として計画が始まりましたが、今は一般の方も入居する人気の賃貸住宅となっています。エネルギー消費を抑える住まい方に挑戦しようと思ったきっかけ、会長職の引退後にヤギ牧場でのチーズづくりという事業を起業したわけなどをインタビューしました。生き生きと輝いている吉田さん、次の事業も考えているそうで……!

第10位:上野や浅草が徒歩圏内! 地元カフェオーナーと台東区「入谷」の魅力を探索してみた

(写真撮影/小野洋平)

(写真撮影/小野洋平)

観光客でにぎわう浅草や上野に隣接するエリアでありながら、ややマイナーな印象の入谷とは、どんな街なのでしょうか? 地元在住のカフェオーナーの案内で浅草方面、上野方面に歩いてみると、古民家カフェや寺社など、さまざまな魅力的スポットが! 歩けば歩くほど新しい発見のある入谷、ぜひ足を運んでみては。

7月は好評の連載「BEAMS流インテリア」が2本ランクインしたほか、路線価のポイント解説記事や、東京駅まで30分以内の家賃相場が安い駅ランキング、東京23区の家賃相場が安い駅ランキングなど、お金に関する記事が3本ランクインしました。引越しを考える際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158362_main.jpg

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若者の住まいの満足度は、賃貸と持ち家、広さ、ライフステージでどう変わる?

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若者の住まいの満足度は、賃貸と持ち家、広さ、ライフステージでどう変わる?

FRKの「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」は、ライフスタイルの違いや住宅の面積が50平米未満か以上か、賃貸か持ち家かなど、対象をグループ化して多岐にわたって調べている。このなかで、若者に注目した結果を詳しく見ていきたい。8~9割の若者には結婚や出産願望があって、住宅の購入が結婚や出産と関係が深いという。また、それぞれのグループで「住まいの満足度」はどう変わるについても掘り下げていこう。【今週の住活トピック】
「50m2未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」結果を公表/不動産流通経営協会(FRK)今どきの若者は、結婚や育児願望があり、持ち家志向も強い

この調査でいう「若者」は、25歳~35歳のシングル、カップル、子育てファミリーと定義している。また、36歳~49歳を「中年」として、若者と数値の比較をしている。

若者のうち、すでに結婚したことがある割合は58.9%、今後結婚の意向がある(予定の有無含む)割合は31.1%で、合わせて90.0%が結婚をした・したいと考えている。また、出産・育児をしたことがあるのは38.1%、今後意向がある(予定の有無含む)割合は45.4%で、合わせて83.5%が出産・育児をした・したいと考えている。つまり、8~9割の若者は、結婚や育児を望んでいるという結果だ。

若者に「住まいの優先度」を聞いた調査項目を見ると、「子どもがいるなら賃貸よりも持ち家の方が良い」(48.6%)、「結婚しているなら賃貸よりも持ち家の方が良い」(38.6%)が上位に来るなど、結婚や出産・育児が住宅の購入に少なからず影響していることもうかがえる。

住まいの優先度(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まいの優先度(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

次に、「住まい・ライフイベントに対する意識」を聞いた調査項目を見ると、「毎月の支払いが『家賃と同じ』で『広さが同じ、または広くなる』なら持ち家のほうがよい」、「持ち家なら安心して老後が送れる」などが上位になった。一方「賃貸で良い」は下位であることから、賃貸派よりも持ち家派のほうが多いことがうかがえる。

また、半数近くが「家は一生に一度しか買わないと思う」と答える一方で、3割近くが「持ち家でも家族状況や経済状況によって買い替えていく」と答えるなど、買い替えについては考え方の違う若者がそれぞれいることも分かった。

このほか、「近居=どちらかの親の近くに住む」の意向が見られるなども注目したい点だ。

住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まいの満足度は持ち家、カップルやファミリーがより高い

若者の「住まいに対する満足度(高いほど満足度が高い)」は、平均6.5点。これは中年と同じ平均点だった。全体傾向を見ると、賃貸(50平米未満6.0点/50平米以上6.4点)より持ち家(50平米未満6.9点/50平米以上7.3点)のほうが、シングル(6.1点)よりカップル(6.7点)や子ありファミリー(6.6点)のほうが満足度は高い結果となった。

さらに若者の満足度が高い項目を見ると、部屋の満足度で「日当たり」(6.7点)と「通風」(6.7点)、住んでいる地域の満足度で「スーパーやコンビニ等の生活利便性」(7.0点)、「通勤や通学などの交通利便性」(6.7点)、「閑静さや公園などの住環境・治安の良さ」(6.6点)で点数が高かった。

逆に満足度が低い項目は、部屋の満足度で「セキュリティや宅配ボックス等の付加設備」(5.5点)、「遮音性」(5.6点)、住んでいる地域の満足度で「おしゃれ・高級感といったイメージの良さ」(5.4点)で点数が低かった。

住まいに対する満足度【部屋の満足度】(住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まいに対する満足度【部屋の満足度】(住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まいに対する満足度【地域の満足度】(住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

住まいに対する満足度【地域の満足度】(住まい・ライフイベントに対する意識(出典/不動産流通経営協会「50平米未満の住宅の居住満足度・住宅がライフスタイルに与える影響に関する調査」より転載)

今回の調査結果を見ていくと、今どきの若者は家庭ができた場合(結婚より子どもが生まれた場合により強く)、引っ越しせずに同じ場所にある程度住み続け、利便性だけでなく住環境も重視したうえで、住宅を購入するという考えを持つ人が多いと感じた。

購入する場合は、「家賃と同じ支払いで今より広く、または同じなら購入する」という考え方なので、今の超低金利ならそれも可能だろう。ただし、金利は同じ水準が続くとは限らない。景気が回復したり、金利が上昇したりしたときに、若者はどんな住まい感を持つのだろうか。

元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2018/08/158206_main.jpg

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